技能実習2号を良好に修了した方は、特定技能1号への移行にあたって試験が免除される取扱いがあります。ただし技能と日本語で条件が異なり、技能水準の証明が免除されるのは、従事しようとする業務と技能実習2号の職種・作業に関連性が認められる場合です。日本語能力水準の証明は、原則として修了した職種・作業の種類にかかわらず免除されます(N4レベルの試験免除)が、介護分野の介護日本語評価試験や、N3レベルを求める自動車運送業分野(タクシー・バス運転者)・鉄道分野(運輸係員)には例外があります。移行は在留資格変更許可申請によって行い、本人または申請取次者等が地方出入国在留管理局に出頭して申請します(オンライン申請を除く)。手数料はオンライン申請5,500円、窓口申請6,000円です。審査には期間を要するため、在留期限の3〜4か月前には準備を始めるのが安全です。2027年4月に育成就労制度が施行された後は、技能実習を行っていた期間が育成就労の期間とみなされる経過措置が適用されるため、実習の経過年数によって特定技能への移行と育成就労への移行のどちらを選ぶかが変わります。行政書士法人アクティス(鹿児島・熊本を中心に九州全域対応)は、在籍者ごとの移行可否とスケジュールの整理からお手伝いしています。
移行が認められる仕組み
技能実習2号を良好に修了した方については、特定技能1号への移行にあたって試験が免除される取扱いがあります。ただし、技能と日本語では条件が違います。
| 免除の条件 | |
|---|---|
| 技能水準 | 技能実習2号を良好に修了しており、従事しようとする業務と技能実習2号の職種・作業に関連性が認められる場合に、試験その他の評価方法による証明を要しない |
| 日本語能力水準 | 技能実習2号を良好に修了していれば、原則として修了した職種・作業の種類にかかわらず証明を要しない(N4レベルの試験免除) |
特定技能1号は、本来「分野別運用方針で定める業務区分に対応する試験等」により技能水準を確認する制度です。技能実習2号の修了者について試験を免除するのは、すでに一定期間の実務経験を通じて必要な水準に達していると評価できるためです。
したがって、技能試験が免除されるかどうかは「職種・作業」と「分野・業務区分」の対応関係で決まります。同じ会社で同じ仕事を続ける場合でも、この対応関係を確認しないまま進めることはできません。
日本語の側には、関連性とは別の例外があります。
- 介護分野で求められる介護日本語評価試験の合格は、介護職種・介護作業の技能実習2号を良好に修了した方を除き、免除されません
- 自動車運送業分野(タクシー運転者・バス運転者に限る)と鉄道分野(運輸係員に限る)はN3レベルの日本語能力が必要なため、技能実習2号を良好に修了していても証明が必要です
手続きの流れと費用
| 段階 | 内容 |
|---|---|
| 1 | 職種・作業と分野・業務区分の対応を確認し、試験免除の可否を判断する |
| 2 | 特定技能雇用契約を締結する(報酬額が日本人と同等額以上であること等の基準に適合する必要があります) |
| 3 | 1号特定技能外国人支援計画を作成する(自社支援か委託かを決める) |
| 4 | 在留資格変更許可申請を行う |
| 5 | 許可後、受入れ開始。以後は届出義務が発生する |
在留資格変更許可申請は、本人または申請取次者等が地方出入国在留管理局に出頭して行います(オンライン申請を除く)。手数料はオンライン申請5,500円/窓口申請6,000円です。
なお、受入れ機関側にも基準があります。実習実施者として技能実習生の行方不明者を発生させていた場合など、実習時代の状況が特定技能の受入れに影響することがあります。
逆算で動く——3〜4か月前が分岐点
「実習期間がもうすぐ終わるが、本人は残って働きたいと言っている」というご相談は非常に多く、そして相談のタイミングが遅いほど選択肢が減ります。
在留期限の3〜4か月前に動き始めるのが安全ラインです。理由は3つあります。
- 試験免除の要件確認に時間がかかる(職種・作業と業務区分の突合、修了の証明)
- 支援体制の決定に時間がかかる(自社支援なら体制構築、委託なら登録支援機関の選定と契約)
- 審査期間そのものが長期化している
期限が迫っている場合でも打つ手がなくなるわけではありませんが、選べる道は確実に狭くなります。移行の時期の考え方は技能実習から特定技能への移行、いつから準備すべきかでも解説しています。
移行のご相談でいちばん多いのが、 「本人が残りたいと言っているので、そのまま雇いたい」というものです。 お気持ちはよく分かるのですが、手続きとしてはまったく別の在留資格への変更です。
実習を続けるのとは違い、 雇用契約を結び直し、支援計画を作り、支援体制を決める必要があります。 賃金も、日本人と同等額以上であることが求められます。 「実習のときと同じ条件で」というわけにはいきません。
それから、意外に見落とされるのが受入れ機関側の要件です。 実習実施者として行方不明者を出していた場合や、 社会保険料の未納がある場合は、そこから整えることになります。 本人の要件だけを見ていると、直前で足元から崩れます。
ですので、私たちは在留期限の一覧をいただいたら、 まず会社側の適格性を確認します。そのうえで一人ずつの移行可否を見る。 この順番が、結果的にいちばん早く進みます。
申請取次行政書士 多伊良 壮平
2027年4月以降——育成就労が始まると
育成就労制度は2027年4月1日に施行されます。これにより、技能実習生の進路の考え方が変わります。
改正法附則11条により、技能実習を行っていた期間は育成就労の対象となっていた期間とみなされます。そして同一の業務区分で育成就労の対象となれるのは基本的に通算3年です。
| 施行日時点の実習の経過 | 主な選択肢 |
|---|---|
| 実習を2年終えている | 残り1年の育成就労、または要件を満たせば特定技能1号 |
| 実習を3年終えている | 育成就労には移れないため、特定技能1号を検討 |
| 施行後もなお技能実習を継続(経過措置) | 出国しない限り育成就労には移れない点に注意 |
つまり、これまで「技能実習2号修了 → 特定技能1号」という一本道だったところに、育成就労という選択肢が加わり、実習の経過年数によって道が分かれることになります。
なお、従前の技能実習計画の目標に係る試験が育成就労評価試験として指定されていない場合など、技能実習の期間を通算しない例外もあります。詳しくは技能実習から育成就労へ——移行後に企業がやることをご覧ください。
移行後を見据えて
特定技能1号の在留期間は通算5年が上限です。その先を考えるなら、特定技能2号への移行を視野に入れることになります。2号は試験の合格等によって判断されるため、1号の5年のあいだに受験の機会を用意しておく必要があります。
育成就労3年 → 特定技能1号5年 → 特定技能2号。この長い線を採用の段階から描いておくことが、これからの受入れ計画の基本になります。
※ 本ページは出入国在留管理庁「特定技能外国人受入れに関する運用要領」(令和8年4月)、 「育成就労制度運用要領」(令和8年8月)および改正法(令和6年法律第60号)附則に基づいて作成しています。 試験免除の対象となる職種・作業と分野・業務区分の対応関係は、分野別運用方針および入管庁の公表資料でご確認ください。 制度は改正されることがあるため、申請時点の最新の取扱いをご確認ください。
在留資格の申請(申請取次)は、行政書士の独占業務のため行政書士法人アクティスが行います。 技能実習の監理(監査・訪問指導)はアクティス事業協同組合(監理団体 許可番号 2012000252)が、 人材のご紹介は職業安定法上の許可が必要なため株式会社FACTer(有料職業紹介事業 許可番号 40-ユ-301067)が対応します。 いずれも関連法人のため、窓口はひとつのままご相談いただけます。