育成就労制度は令和9年(2027年)4月1日に施行されます。すでに技能実習を行っていた外国人(旧技能実習生)については、改正法附則11条により、技能実習を行っていた期間は原則として育成就労の対象となっていた期間とみなされ、育成就労法8条の6第1項に基づく育成就労計画の認定申請を行うことになります。同一の業務区分で育成就労の対象となれるのは基本的に通算3年であるため、すでに3年間の実習を終えている方について新たに認定を受けることはできません。ただし、従前の技能実習計画の目標に係る試験が育成就労評価試験として指定されていない場合など、技能実習の期間を通算せずに育成就労を行わせることができる例外も定められています。行政書士法人アクティス(鹿児島・熊本を中心に九州全域対応)は、在籍する実習生ごとの移行可否とスケジュールの洗い出しからお手伝いしています。
施行日は2027年4月1日。まず在籍者を棚卸しする
育成就労制度の施行日は令和9年(2027年)4月1日です。この日を境に、いま受け入れている技能実習生について「どう扱うのか」を決めておく必要があります。
判断の分かれ目は、次の3点です。
- その実習生は、施行日までに何年の実習を終えているか
- その実習生の技能実習計画の目標だった試験は、育成就労評価試験として指定されているか
- 施行日以降も、なお技能実習を続ける(経過措置)のか
順に見ていきます。
原則——技能実習の期間は「育成就労の期間」とみなされます
改正法附則11条は、技能実習を行っていた期間を有する外国人(旧技能実習生)について、次のようにみなすと定めています。
- 旧技能実習生は、育成就労法8条の6第1項に規定する育成就労の対象でなくなった外国人とみなす
- 技能実習を行っていた期間は、育成就労の対象となっていた期間とみなす
運用要領は、これを次のように説明しています。
技能実習生であった者が育成就労を行おうとする場合、基本的に、技能実習を行っていた期間を育成就労の対象となっていた期間として計算して、法第8条の6第1項に基づく育成就労計画の認定申請を行うこととなります。
つまり、実習の期間はリセットされません。ここが企業にとって最大のポイントです。
通算3年という上限
育成就労制度において、同一の業務区分で育成就労の対象となれるのは基本的に通算して3年です。新たな育成就労実施者が育成就労を行わせることができる期間は、3年から同一の業務区分における育成就労の期間を除いた期間となります。
したがって、
- 技能実習を2年終えている方 → 残り1年の育成就労
- 技能実習を3年終えている方 → 新たに育成就労計画の認定を受けることはできません
3年を終えている方については、育成就労ではなく特定技能1号への移行を検討することになります。移行の考え方は技能実習から特定技能1号への移行で解説しています。
なお、育成就労の期間を延長して3年を超えて対象となっていた外国人が再度対象となろうとするときは、新たな実施者は当該延長された期間までの残りの期間、育成就労を行わせることができます。
例外——期間を通算しない場合があります
ただし、次のような場合には、技能実習を行っていた期間を考慮せずに育成就労を行わせることができ、育成就労法8条1項に基づく認定申請(省令様式第1号)を行うこととされています。
- 従前の技能実習計画に定められていた技能実習の目標に係る技能検定または技能実習評価試験と同一の試験、またはこれらに相当する試験が、育成就労評価試験として指定されていない場合
- 従前の技能実習計画に定められていた技能実習の内容に係る技能・技術・知識が移行対象職種・作業に係るものでない場合であって、当該技能が育成就労産業分野に属する技能と同一またはこれに相当するものでないとき
自社が受け入れてきた職種・作業がこれに当たるかどうかで、残り期間の計算がまったく変わります。運用要領の別紙⑦として「技能実習2号移行対象職種と育成就労における分野(業務区分)との関係性について」が示されていますので、まずここを確認してください。
施行日以降もなお技能実習を続ける場合
改正法附則9条により、施行日以降も従前の例によって技能実習を行う経過措置があります。この経過措置により令和9年4月1日以降に技能実習を行っていた方については、注意が必要です。
出国(再入国許可を受けて出国している場合を除きます。ただし、再入国許可を受けている場合であっても、出国中に再入国許可が失効している場合は含みます。)しない限り育成就労を行うことはできません。
この場合、出国したうえで育成就労法8条の6第1項に基づく認定申請をするときは、**省令様式第3号(2)**を使用します。
「施行後もしばらく実習のまま続けて、あとで育成就労に切り替えよう」という発想は、この規定によって行き詰まる可能性があります。在留期限と施行日の関係を、一人ずつ確認しておく必要があります。
企業さまにお願いしているのは、まず実習生の一覧表を作ることです。 項目は4つで足ります。氏名、職種・作業、実習の開始日と現時点での経過年数、在留期限。
これを施行日である2027年4月1日に照らすと、 「残り1年の育成就労に移る人」「もう育成就労には移れず特定技能を検討する人」 「施行後もなお実習が続く人」の3つに自然と分かれます。 制度の理解より先に、この仕分けをやってしまうほうが早いというのが実感です。
そのうえで、私たちが必ず確認するのが「その職種の試験が育成就労評価試験として指定されているか」です。 ここが空欄のままだと残り期間が計算できません。 別紙の対応関係表と分野別運用方針を突き合わせる、地味ですが避けて通れない作業です。
もう一つ、見落とされがちなのが監理団体側の事情です。 監理支援機関の許可は、事業を行う予定の3か月前までに申請することが推奨されています。 取引先の団体が許可を取れない、あるいは間に合わないという事態は、 自社の受入れがそのまま止まることを意味します。 早めに確認してください。
申請取次行政書士 多伊良 壮平
入国後講習は必要か
育成就労外国人であった者を受け入れる場合、一定の場合には入国後講習を行う必要はないとされています。
一方、いったん帰国した外国人が異なる業務区分で育成就労を行う場合は、通常の育成就労計画と同様に入国後講習が必要です。この場合の要件としては、過去の育成就労の合計期間(業務区分を問わない全期間)が2年以内であること、出国して「育成就労」の在留資格を喪失していること、その後再度「育成就労」で在留していないことなどが定められています。
移行にあたって企業が整えるもの
経過措置の確認と並行して、受入れ体制そのものを育成就労の基準に合わせる必要があります。技能実習から引き継げるものと、新たに必要になるものがあります。
| 項目 | 技能実習からの扱い |
|---|---|
| 育成就労計画 | 新規に作成し認定を受ける(監理型は監理支援機関の指導に基づく) |
| 技能・日本語の目標 | 新設。3年終了までの受験義務、開始1年以内の中間評価の受験義務あり |
| 責任者・指導員・生活相談員 | 選任が必要。養成講習(各6.0時間)を受講する |
| 監理団体との契約 | 相手方が監理支援機関の許可を取得していることが前提 |
| 健康診断・面談・緊急連絡網 | 引き続き必要(運用要領で具体化) |
| 宿泊施設・報酬の口座振込み | 引き続き必要 |
| 届出 | 初めて育成就労を行わせたときは開始後遅滞なく届出 |
なお、育成就労責任者等の講習については、当分の間、技能実習法施行規則に規定する講習を修了した者は、育成就労法上の講習を修了した者とみなす経過措置が置かれています(規則附則4条)。
準備の順番
- 在籍する実習生の一覧表(職種・作業/経過年数/在留期限)を作る
- 職種・作業と育成就労の業務区分の対応、目標試験の指定状況を確認する
- 施行日に照らして**「育成就労へ/特定技能へ/経過措置のまま」**に仕分ける
- 取引先の監理団体に監理支援機関の許可申請の予定を確認する
- 責任者・指導員・生活相談員の養成講習の受講計画を立てる
- 分野別運用方針で転籍制限期間を確認し、育成就労計画に定める期間を決める
制度全体の違いは育成就労とは——技能実習と何が違うのかを、転籍の要件は育成就労の転籍ルールをご覧ください。
※ 本ページは出入国在留管理庁・厚生労働省編「育成就労制度運用要領」(令和8年8月)、改正法(令和6年法律第60号)附則および育成就労法施行規則・整備省令に基づいて作成しています。 経過措置の適用は個別の事情により異なります。施行までに運用が追加・変更される可能性があるため、最新の公表資料をご確認ください。
在留資格の申請(申請取次)は、行政書士の独占業務のため行政書士法人アクティスが行います。 技能実習の監理(監査・訪問指導)はアクティス事業協同組合(監理団体 許可番号 2012000252)が、 人材のご紹介は職業安定法上の許可が必要なため株式会社FACTer(有料職業紹介事業 許可番号 40-ユ-301067)が対応します。 いずれも関連法人のため、窓口はひとつのままご相談いただけます。