特定技能で外国人を受け入れられるのは、分野省令に定められた19の特定産業分野に限られます。介護、ビルクリーニング、リネンサプライ、工業製品製造業、建設、造船・舶用工業、自動車整備、航空、宿泊、自動車運送業、鉄道、物流倉庫、農業、漁業、飲食料品製造業、外食業、林業、木材産業、資源循環の19分野で、このうち11分野が特定技能2号での受入れ対象です。各分野には分野別運用方針が定められ、人材不足の状況、受入れ見込数、在留資格認定証明書の交付の停止・再開の措置、求められる人材の基準などが示されます。行政書士法人アクティス(鹿児島・熊本を中心に九州全域対応)は、自社の業務がどの分野・業務区分に当たるかの整理からお手伝いしています。

受入れは「19分野」に限られます

特定技能は、人手不足であればどの業種でも使える制度ではありません。基本方針では、この制度による外国人の受入れは、生産性向上や国内人材確保のための取組(女性・高齢者のほか、各種の事情により就職に困難を来している者等の就業促進、人手不足を踏まえた処遇の改善等を含む)を行ったうえで、なお人材を確保することが困難な状況にあるため外国人により不足する人材の確保を図るべき産業上の分野に限って行うこととされています。

その分野は、分野省令(入管法別表第1の2の表の特定技能の項の下欄に規定する産業上の分野等を定める省令)に定められています。

19分野の一覧(令和8年4月時点)

#分野特定技能2号
1介護—
2ビルクリーニング○
3リネンサプライ—
4工業製品製造業○
5建設○
6造船・舶用工業○
7自動車整備○
8航空○
9宿泊○
10自動車運送業—
11鉄道—
12物流倉庫—
13農業○
14漁業○
15飲食料品製造業○
16外食業○
17林業—
18木材産業—
19資源循環—

特定技能2号での受入れ対象は11分野です。介護分野は2号の対象ではありませんが、在留資格「介護」という別の道が用意されています。

分野別運用方針には何が書かれているか

政府は「特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する基本方針」を閣議決定し、各分野については分野別運用方針を定めています。分野別運用方針には、次の事項が定められます。

  1. 人材を確保することが困難な状況にあるため外国人により不足する人材の確保を図るべき産業上の分野(=特定産業分野)
  2. 特定産業分野における人材の不足の状況に関する事項(人材が不足している地域の状況を含む)
  3. 在留資格認定証明書の交付の停止の措置および再開の措置に関する事項
  4. その他特定技能制度に係る制度の運用に関する重要事項
  5. 特定産業分野において求められる人材の基準に関する事項
  6. その他特定技能制度の運用に関する重要事項

企業として押さえるべきは、3番目と5番目です。

5番目——求められる人材の基準(=どの試験に合格する必要があるか)

技能水準は「分野別運用方針において定める当該特定産業分野の業務区分に対応する試験等」で確認され、日本語能力水準は「分野所管行政機関が定める試験等」で確認されます。

つまり、受けるべき試験は分野別運用方針を見ないと確定できません。同じ業種でも、作業の中身によって業務区分が変わることがあります。ここを取り違えると、採用計画そのものが崩れます。

3番目——交付停止・再開の措置(=枠が埋まる可能性)

分野別運用方針には受入れ見込数が定められ、これに達する見込みとなった場合には、在留資格認定証明書の交付を停止する措置がとられます。

実際に外食業分野では、受入れ見込数5万人に達する見込みとなったことから、2026年4月13日以降に受理された認定証明書交付申請は不交付、変更許可申請は原則不許可とする措置が公表されました。詳しくは外食業分野が受入れ上限に到達で解説しています。

採用活動を始める前に、自社の分野の枠が埋まっていないかを確認する。 これは制度の理解というより、事業計画の問題です。

相談の現場から

分野についてのご相談で多いのが、 「うちの仕事はこの分野に入りますか」というものです。

たとえば食品を扱う会社でも、 工場で製造していれば飲食料品製造業、 店舗で調理・接客をしていれば外食業になります。 倉庫での仕分けが中心なら物流倉庫の可能性が出てきます。 会社の業種ではなく、その方に任せる作業の中身で決まる、というのが実務の感覚です。

判断が難しいときは、分野横断的な質問は法務省でも受け付けていますし、 分野ごとの個別の質問は所管省庁に照会できます。 私たちも、業務内容を書き出して分野・業務区分に当てはめる作業から ご一緒することが多くあります。 ここが決まれば、受けるべき試験も、必要な書類も自動的に決まっていきます。

申請取次行政書士 多伊良 壮平

育成就労の分野との関係

2027年4月に始まる育成就労制度でも、育成就労産業分野が分野別運用方針で定められます。育成就労は「3年間の就労を通じて特定技能1号水準の技能を有する人材を育成する」制度ですから、両者は連続する設計になっています。

現在受け入れている技能実習の職種・作業が、育成就労のどの分野・業務区分に対応するのかは、運用要領の別紙(技能実習2号移行対象職種と育成就労における分野の関係性)で確認できます。技能実習から育成就労へもあわせてご覧ください。

まず確認する順番

  1. 自社が任せたい作業の中身を書き出す
  2. 該当しそうな分野・業務区分を分野別運用方針で特定する
  3. その業務区分に対応する技能試験と、分野所管行政機関が定める日本語試験を確認する
  4. 分野の受入れ見込数と交付停止措置の状況を確認する
  5. 分野特有の上乗せ基準(協議会への加入など)を確認する

要件の全体像は特定技能1号の要件と、受入れまでの流れをご覧ください。

※ 本ページは出入国在留管理庁「特定技能外国人受入れに関する運用要領」(令和8年4月)第2章および分野省令、分野別運用方針に基づいて作成しています。 分野・業務区分・受入れ見込数は改正されることがあります。申請時点の最新の分野別運用方針をご確認ください。