技能実習制度は、日本で開発され培われた技能・技術・知識を開発途上地域等へ移転し、その地域の経済発展を担う「人づくり」に協力することを目的とする制度です。平成28年11月28日に公布された技能実習法(外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律)を基本法とし、技能実習法3条2項は「技能実習は、労働力の需給の調整の手段として行われてはならない」と明記しています。受入れには、技能実習を行わせる実習実施者が技能実習生ごとに技能実習計画を作成して外国人技能実習機構の認定を受けることが必要で、団体監理型では監理団体(許可制)が計画作成の指導と監査を行います。なお本制度は発展的に解消され、令和9年(2027年)4月1日からは育成就労制度に切り替わりますが、施行の際に現に行っている技能実習は経過措置によりそのまま続きます。行政書士法人アクティス(鹿児島・熊本を中心に九州全域対応)は、在留資格の申請取次と、受入れ体制の整備・制度移行の準備をお手伝いしています。技能実習の監理(監査・訪問指導)は、関連法人のアクティス事業協同組合(監理団体)が行います。

技能実習は「国際協力」の制度です

技能実習制度は、日本で開発され培われた技能・技術・知識の開発途上地域等への移転を図り、その地域の経済発展を担う「人づくり」に協力することを目的とする制度です。

平成28年11月18日に成立し、同月28日に公布された技能実習法(外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律)が基本法で、それまで入管法令で規定されていた多くの部分が技能実習法令に移されました。

運用要領が制度の趣旨をより徹底するために置かれたと説明しているのが、次の基本理念です。

技能実習は、労働力の需給の調整の手段として行われてはならない(法第3条第2項)

これは単なる理念ではありません。運用要領は、監理団体がホームページやパンフレット等で「人手不足の解消のために技能実習制度を活用する」などと勧誘・紹介することは、監理団体の業務運営基準(規則52条4号)に違反するとまで書いています。

一方で、技能実習生は労働者として、日本人労働者と同様に労働関係法令の適用を受け、保護されます。「実習だから労働法は関係ない」という理解は誤りです。

2つの形態——企業単独型と団体監理型

技能実習には2つの形態があり、在留資格の記載も分かれます。

形態受け入れる人在留資格
企業単独型日本の機関の海外にある事業所の職員、または密接な関係を持つ海外の機関の事業所の職員。自社で直接受け入れる技能実習1号イ・2号イ・3号イ
団体監理型監理団体(許可制)の仲介を通じて受け入れる外国人技能実習1号ロ・2号ロ・3号ロ

私たちがご相談をお受けする範囲では、受入れのほとんどが団体監理型です。この場合、実習実施者(受入企業)は監理団体の指導に基づいて技能実習計画を作成し、受入れ後は監理団体の監査・訪問指導を受けることになります。

第1号・第2号・第3号——期間と目標

技能実習計画は、技能実習生ごとに第1号・第2号・第3号の区分を設けて認定を受けます。段階ごとに、法律上の位置づけも目標も異なります。

区分期間目標として定める試験
第1号(技能等を修得する)1年以内基礎級の技能検定またはこれに相当する技能実習評価試験の実技試験と学科試験の合格
第2号(技能等に習熟する)2年以内3級の技能検定等の実技試験の合格
第3号(技能等に熟達する)2年以内2級の技能検定等の実技試験の合格

合計すると最長5年です。ただし、先へ進むには条件があります。

  • 第2号・第3号を行うには、移行対象職種・作業であることが必要です。移行対象でない職種・作業では、第1号の1年で終わります
  • 第2号の計画認定には、第1号で定めた基礎級の合格が、第3号の計画認定には、第2号で定めた3級の実技試験の合格が必要です
  • 第3号は、優良な実習実施者(団体監理型では監理団体も優良であること)でなければ行えません
  • 第3号の前後には一時帰国が必要です。第2号の終了後から第3号の開始までの間、または第3号の開始後1年以内に、1か月以上の一時帰国をしなければなりません

目標の定め方にも補足があります。第1号の目標が基礎級の合格になるのは、第2号へ移行する予定がある場合です。移行する予定がない場合は、「具体的な業務ができるようになること」と知識の修得を内容とする、期間に照らして適切な目標を定めることもできます。また第3号は、2級の実技試験に合格しなければ修了できないという定めではなく、受検させることが求められています。

自社の職種・作業が移行対象かどうかは、受入れ計画の前提が変わる最初の分岐点です。移行対象職種・作業の一覧と技能実習計画審査基準は、厚生労働省のホームページで公表されています。

受入れまでの手続——計画の認定が先、在留資格は後

技能実習法に基づく手続と、入管法に基づく手続は別のものです。順番を取り違えると準備が空転します。

  1. (団体監理型の場合)監理団体の指導を受けて技能実習計画を作成する
  2. 外国人技能実習機構の地方事務所・支所の認定課に、技能実習計画の認定申請を行う
  3. 認定通知書の交付を受ける
  4. 認定通知書を添えて、地方出入国在留管理局に在留資格認定証明書の交付申請(第2号・第3号へ進むときは在留資格変更許可申請)を行う
  5. その事業所で初めて技能実習を開始したときは、遅滞なく実習実施者の届出を行う(機構の地方事務所・支所の認定課へ。技能実習を行わせる都度ではなく、初回のみで差し支えないとされています)

機構は東京に本部事務所を置くほか、全国13か所(札幌、仙台、水戸、東京、長野、富山、名古屋、大阪、広島、高松、松山、福岡、熊本)の地方事務所・支所で業務を行っています。九州の窓口は福岡と熊本です。

なお、認定を受けた後も、認定基準を満たさなくなった場合や、認定計画のとおりに技能実習が行われていない場合には実習認定の取消しが行われます。計画は「取れば終わり」ではありません。

人数枠——常勤職員の数で決まります

受け入れられる技能実習生の数には上限があり、まず基本人数枠が常勤職員の総数で決まります。

申請者の常勤職員の総数基本人数枠
301人以上常勤職員総数の20分の1
201人以上300人以下15人
101人以上200人以下10人
51人以上100人以下6人
41人以上50人以下5人
31人以上40人以下4人
30人以下3人

団体監理型では、第1号が基本人数枠、第2号がその2倍です。実習実施者と監理団体がいずれも優良と認められる場合は、第1号が2倍、第2号が4倍、第3号が6倍まで広がります。

あわせて、次の上限も超えられません。

  • 第1号技能実習生 … 常勤職員の総数まで
  • 第2号技能実習生 … 常勤職員の総数の2倍まで
  • 第3号技能実習生 … 常勤職員の総数の3倍まで

この「常勤の職員」の数え方には決まりがあります。技能実習生は常勤の職員に含まれません。外国にある事業所に所属する常勤の職員も、雇用契約のない派遣労働者も含められません。一方、法人から労働の対価として報酬を受け、法人に使用される立場にある役員(例:取締役部長)は、所定の勤務時間の要件を満たせば含めて差し支えないとされています。

総数は事業所ごとではなく、本社・支社・事業所を含めた法人全体で算出します。枠の計算を誤ると、認定申請の段階で受入れ計画を組み直すことになります。

受入れ体制と入国後講習

技能実習計画の認定基準のうち、「技能実習を行わせる体制」に関するものの主なものは次のとおりです。

  • 技能実習責任者・技能実習指導員・生活指導員の選任
  • 入国後講習の施設の確保
  • 労災保険関係の成立等の措置
  • 帰国旅費の負担

これとは別に、「技能実習生の待遇」に関する基準があります。条文上は別の項目なので、体制づくりと待遇の整備は分けて確認してください。

  • 技能実習生に対する報酬の額が、日本人が従事する場合の報酬の額と同等以上であること
  • 宿泊施設の確保、報酬の口座振込み
  • 監理費を技能実習生に負担させないこと(後述)

入国後講習の時間数は、第1号技能実習の総時間数の6分の1以上が原則です。要件を満たす入国前講習(過去6か月以内に、本邦外で1か月以上かつ160時間以上の課程を座学で実施したもの)を行った場合は、12分の1以上に短縮できます。

ただし、入国前講習で代替できる科目は日本語/本邦での生活一般に関する知識/円滑な技能等の修得に資する知識に限られます。法的保護に必要な情報の科目は対象外で、入国後講習として実施しなければなりません。

団体監理型では、入国後講習の全ての科目を、実習実施者のもとで技能等の修得活動を始める前に実施しなければなりません。

監理団体の許可と役割

団体監理型で受入れを仲介する監理団体は、主務大臣の許可を受けた法人でなければなりません。許可申請は機構の本部事務所の審査課に行い、最終的な許否は主務大臣が判断します。

許可には2区分があります。

区分実習監理できる範囲許可の有効期間
一般監理事業第1号から第3号まで5年(更新時に優れた能力・実績が認められれば7年、それ以外の更新は5年)
特定監理事業第1号・第2号まで3年(更新時に優れた能力・実績が認められれば5年、それ以外の更新は3年)

第3号まで続けて受け入れたい場合、取引する監理団体が一般監理事業の許可を持っているかどうかが前提条件になります。

監理団体の業務には、次のものが含まれます。

  • 監査 … 実習実施者に対し3か月に1回以上の頻度で行う。実地の確認、技能実習責任者・指導員からの報告、技能実習生の4分の1以上との面談(実習生が2人以上4人以下のときは2人以上)、設備・帳簿の確認、宿泊施設その他の生活環境の確認が方法として定められている
  • 訪問指導 … 第1号技能実習について1か月に1回以上、監理責任者の指揮の下で実習実施者に赴き、実施状況を実地に確認して必要な指導を行う。起算は入国後講習の修了後、実習実施者における技能実習を開始した日が属する月から
  • 技能実習計画の作成指導、入国後講習の実施、相談体制の整備

監理費は、あらかじめ定めた適正な種類・額を実習実施者から徴収することとされており、技能実習生に負担させることはできません。

技能実習生の保護

技能実習法は、技能実習生の保護のために次の行為を禁止し、違反した場合の罰則を定めています。

  • 暴行・脅迫・監禁等による技能実習の強制
  • 技能実習に係る契約の不履行についての違約金等の定め
  • 旅券・在留カードの保管等

また、実習実施者または監理団体に法令違反があった場合、技能実習生は出入国在留管理庁長官および厚生労働大臣に通報・申告することができます。人権侵害行為を受けた技能実習生が実習を継続できるよう、機構において転籍を支援する体制も整備されています。

相談の現場から

企業訪問でいちばん多くご相談をいただくのが、「制度の目的」と「現場の事情」がずれたまま走っているケースです。 人手が足りないから受け入れた、という出発点のままだと、監査や実地検査で説明を求められる場面が出てきます。

もうひとつ多いのが、人数枠と常勤職員の数え方です。 在籍している技能実習生を常勤職員に含めて計算されていることがあり、 計画認定の段階で人数を組み直すことになります。受入れ計画を立てる前に確認してください。

そして、いまいちばんお伝えしているのが2027年4月の施行日から逆算することです。 在籍している実習生の氏名・職種・開始日・在留期限を一覧にするだけで、 「育成就労に移る人」「特定技能を検討する人」「施行後もなお実習が続く人」に自然と分かれます。 取引先の監理団体が監理支援機関の許可を取る見込みかどうかも、早めに確認しておきたいところです。

申請取次行政書士 多伊良 壮平

2027年4月、育成就労制度へ

技能実習制度は発展的に解消され、令和9年(2027年)4月1日から育成就労制度が始まります。根拠となる改正法(令和6年法律第60号)は令和6年6月21日に公布済みで、技能実習法は「外国人の育成就労の適正な実施及び育成就労外国人の保護に関する法律」(育成就労法)に改められます。

変わるのは名前だけではありません。制度の目的が「国際協力」から「人材育成・人材確保」へ移り、外国人技能実習機構は外国人育成就労機構に名称を変え、受入れを仲介する立場には監理団体に代わって監理支援機関が置かれます。監理団体の許可を持っていても、監理支援事業を行うには改めて許可が必要です(逆に、施行日以後に監理支援事業の許可を受けた場合は、技能実習法の一般監理事業の許可を受けたものとみなされます。改正法附則13条)。

施行日から逆算するときの期限

改正法附則9条は、技能実習について次の経過措置を定めています。新規の受入れを検討している企業には、ここが逆算の起点になります。

  • 施行日前に認定を受けた技能実習計画に基づき、施行の際に現に行っている技能実習は、なお従前の例による(修了まで技能実習のまま続けられます)
  • 施行日前にされた認定の申請も、その計画に基づく技能実習の期間の始期が施行日から起算して3か月を経過する日までのものに限り、なお従前の例による
  • 上記により技能実習を行った第1号修了者と、一定の第2号修了者については、施行日後の認定申請も、なお従前の例による

ただし、この経過措置で令和9年4月1日以降も技能実習を行っていた方は、出国しない限り育成就労を行うことができません(改正法附則11条1項ただし書・同条2項)。「施行後もしばらく実習で続けて、あとで育成就労に切り替える」という進め方は行き詰まることがあります。

いま受け入れている技能実習生の扱いは、経過措置によって在籍者ごとに分かれます。次の3ページで整理しています。

監理団体・監理支援機関の側の準備については監理支援機関の許可要件をご覧ください。

※ 本ページは出入国在留管理庁・厚生労働省編「技能実習制度運用要領」(令和8年4月)および技能実習法・同施行令・同施行規則に基づいて作成しています。 移行対象職種・作業、監理団体の許可状況、各試験の実施状況は変わることがあるため、受入れの検討にあたっては最新の公表資料をご確認ください。 育成就労制度への移行に関する部分は、改正法(令和6年法律第60号)および「育成就労制度運用要領」(令和8年8月)によります。 なお、労働保険・社会保険の手続や賃金・労務管理の具体的な取扱いについては、社会保険労務士にもご確認ください。

どの法人が何を行うか
在留資格の申請(申請取次)は、行政書士の独占業務のため行政書士法人アクティスが行います。 技能実習の監理(監査・訪問指導)はアクティス事業協同組合(監理団体 許可番号 2012000252)が、 人材のご紹介は職業安定法上の許可が必要なため株式会社FACTer(有料職業紹介事業 許可番号 40-ユ-301067)が対応します。 いずれも関連法人のため、窓口はひとつのままご相談いただけます。