1号特定技能外国人支援計画は、受入れ機関が特定技能1号の外国人に対して行う職業生活上・日常生活上・社会生活上の支援の実施に関する計画で、雇用契約を締結しようとする機関が作成し、在留諸申請の際に地方出入国在留管理局へ提出しなければならないものです。特定技能基準省令3条は、事前ガイダンス、出入国する際の送迎、住居確保と生活に必要な契約の支援、生活オリエンテーション、公的手続への同行、日本語学習の機会の提供、相談・苦情への対応、日本人との交流の促進、非自発的離職時の転職支援、定期的な面談と行政機関への通報という10項目を必要的記載事項として定めています。計画は日本語と外国人が十分に理解することができる言語で作成し、写しを本人に交付する必要があります。行政書士法人アクティス(鹿児島・熊本を中心に九州全域対応)は、支援計画の作成と実施体制づくりをお手伝いしています。
支援計画とは
入管法2条の5第6項は、特定技能1号の外国人と雇用契約を締結しようとする機関に対し、その外国人が活動を安定的かつ円滑に行うことができるようにするための職業生活上、日常生活上または社会生活上の支援の実施に関する計画(1号特定技能外国人支援計画)を作成しなければならないと定めています。
そして法19条の22は、受入れ機関は適合1号特定技能外国人支援計画に基づき支援を行わなければならないとし、契約により他の者にその全部または一部の実施を委託することができるとしています。
作成した支援計画は、在留諸申請の際に地方出入国在留管理局へ提出します。
10の義務的支援(特定技能基準省令3条1項1号)
省令が必要的記載事項として定める支援の内容は、次の10項目です。
① 事前ガイダンス(イ)
在留資格認定証明書の交付申請前(他の在留資格で在留している場合は在留資格の変更申請前)に、特定技能雇用契約の内容、日本で行うことができる活動の内容、上陸および在留のための条件その他日本に上陸し在留するにあたって留意すべき事項に関する情報提供を実施します。
この支援は、対面により、またはテレビ電話装置その他の方法により実施されることとされています。
② 出入国する際の送迎(ロ)
外国人が出入国しようとする港または飛行場において、送迎をします。
③ 住居の確保・生活に必要な契約の支援(ハ)
外国人が締結する賃貸借契約に基づく債務についての保証人となることその他の適切な住居の確保に係る支援をするほか、銀行その他の金融機関における預金口座または貯金口座の開設および携帯電話の利用に関する契約その他の生活に必要な契約に係る支援をします。
④ 生活オリエンテーション(ニ)
日本に入国した後(他の在留資格で在留している場合は変更を受けた後)、次の事項に関する情報提供を実施します。
- 日本での生活一般に関する事項
- 法19条の16その他の法令の規定により履行しなければならない、または履行すべき国または地方公共団体の機関に対する届出その他の手続
- 受入れ機関または委託を受けた者において相談または苦情の申出に対応する者の連絡先、およびこれらの相談・苦情の申出をすべき国または地方公共団体の機関の連絡先
- 外国人が十分に理解することができる言語により医療を受けることができる医療機関に関する事項
- 防災および防犯に関する事項ならびに急病その他の緊急時における対応に必要な事項
- 出入国または労働に関する法令の規定に違反していることを知ったときの対応方法その他外国人の法的保護に必要な事項
⑤ 公的手続等への同行(ホ)
④の(2)に掲げる届出その他の手続を履行するにあたり、必要に応じ、関係機関への同行その他の必要な支援をします。
⑥ 日本語学習の機会の提供(ヘ)
日本での生活に必要な日本語を学習する機会を提供します。
⑦ 相談・苦情への対応(ト)
職業生活上、日常生活上または社会生活上の相談または苦情の申出を受けたときは、遅滞なく適切に応じるとともに、外国人への助言、指導その他の必要な措置を講じます。
⑧ 日本人との交流の促進(チ)
外国人と日本人との交流の促進に係る支援をします。
⑨ 非自発的離職時の転職支援(リ)
外国人が、その責めに帰すべき事由によらないで特定技能雇用契約を解除される場合において、公共職業安定所その他の職業安定機関または職業紹介事業者等の紹介その他の、他の機関との特定技能雇用契約に基づいて特定技能1号の活動を行うことができるようにするための支援をします。
⑩ 定期的な面談・行政機関への通報(ヌ)
支援責任者または支援担当者が、外国人およびその監督をする立場にある者と定期的な面談を実施し、労働基準法その他の労働に関する法令の規定に違反していることその他の問題の発生を知ったときは、その旨を労働基準監督署その他の関係行政機関に通報します。
押さえておくべき4つのルール
1. ⑩だけは委託できません
支援の一部を委託する場合において、⑩「定期的な面談の実施、行政機関への通報」については、第三者への委託が認められません。
なお、支援の全部を登録支援機関に委託した場合は、受入れ機関は支援計画の適正な実施の確保に係る基準に適合しているものとみなされます。この違いは重要ですので、自社支援か、登録支援機関への委託かで整理しています。
一部を委託する場合は、支援計画にその委託の範囲を明示しなければなりません。
2. 日本語と母語の2言語で作成し、写しを交付する
支援計画は、日本語および外国人が十分に理解することができる言語により作成し、その写しを本人に交付しなければなりません。
「十分に理解することができる言語」とは母国語に限られませんが、内容を余すことなく理解できるものである必要があります。支援計画書(参考様式第1−17号)は、申請人が十分に理解できる言語で作成し、内容を十分に理解して署名していることが求められます。入管庁のウェブサイトには10か国語の翻訳様式が掲載されています。
3. 一部の支援は言語と実施方法が指定されています
- ①事前ガイダンスは、対面またはテレビ電話装置その他の方法(オンライン会議システム等を含む)により実施すること
- ①事前ガイダンス、④生活オリエンテーション、⑦相談・苦情対応、⑩定期的な面談は、外国人が十分に理解することができる言語により実施すること
4. 自治体の共生施策を踏まえること
支援の内容は、外国人の適正な在留に資するものであって、かつ、地方公共団体が実施する共生社会の実現のための施策を踏まえ、適切に実施することができるものでなければなりません。
受入れ機関は、外国人が活動する事業所の所在地および住居地が属する市区町村において実施する共生施策を確認したうえで支援計画を作成し、在留諸申請の際に提出する必要があります。確認は自治体のホームページの閲覧による方法が想定されており、支援計画書の「Ⅳ 支援内容」の自由記載欄に、共生施策を踏まえた支援を記載します。
このほか、分野によっては分野に特有の事情に鑑みて告示で定める基準が設けられている場合があります(分野によっては定めていない場合もあり、内容は分野ごとに異なります)。
支援計画は、書式を埋めれば作れます。難しいのは「実際に回るかどうか」です。
たとえば⑩の定期的な面談。 これは外国人本人だけでなく、その方を監督する立場にある人とも面談します。 現場の班長さんや店長さんに、面談の時間を取ってもらう必要があるということです。 しかもこの項目は外部に委託できません。 「支援は全部お願いしてあるから」では済まない部分が、必ず社内に残ります。
⑥の日本語学習の機会の提供も、 教材を渡して終わりにしてしまうと形骸化します。 勤務シフトの中でどう時間を作るかを決めておかないと続きません。
ですので、私たちが支援計画を作るときは、 「誰が、いつ、どこでやるか」を先に埋めてから文章にします。 書類として通ることと、受け入れた方が定着することは、 重なる部分は多いのですが、同じではありません。
申請取次行政書士 多伊良 壮平
作成の手順
- 受け入れる外国人の事業所所在地・住居地を確定する
- 当該市区町村の共生施策を確認する(自治体ホームページ)
- 10項目それぞれについて、誰が・いつ・どの言語で行うかを決める
- 自社で行う範囲と委託する範囲を決める(⑩は委託できません)
- 参考様式第1−17号に記載し、日本語と本人が理解できる言語で作成する
- 本人に内容を説明し、署名を得て、写しを交付する
- 在留諸申請の際に地方出入国在留管理局へ提出する
受入れ機関側の基準は受入れ機関(特定技能所属機関)の基準と受入れ後の届出、委託先となる機関の要件は登録支援機関の登録要件をご覧ください。
※ 本ページは出入国在留管理庁「特定技能外国人受入れに関する運用要領」(令和8年4月)第6章および入管法2条の5・19条の22、特定技能基準省令3条・4条に基づいて作成しています。 支援の具体的な内容は「運用要領別冊(支援)」に定められています。制度は改正されることがあるため、申請時点の最新の取扱いをご確認ください。