特定技能の受入れ機関は、1号特定技能外国人支援計画に基づく支援を自ら行うことも、契約により他の者にその全部または一部の実施を委託することもできます。登録支援機関に支援計画の全部の実施を委託した場合、受入れ機関は支援計画の適正な実施の確保に係る基準に適合しているものとみなされます。一方、自社で支援を行う場合や一部のみを委託する場合は、受入れ機関自身が支援体制に関する基準を満たさなければならず、その水準は登録支援機関に求められるものと同様の考え方に基づいています。なお、定期的な面談の実施と行政機関への通報については、第三者へ委託することが認められていません。行政書士法人アクティス(鹿児島・熊本を中心に九州全域対応)は、どちらの体制が自社に合うかの整理からお手伝いしています。

支援は「自社」か「委託」かを選べます

入管法19条の22は、受入れ機関について次のように定めています。

特定技能所属機関は、適合1号特定技能外国人支援計画に基づき、1号特定技能外国人支援を行わなければならない。 2 特定技能所属機関は、契約により他の者に1号特定技能外国人支援の全部又は一部の実施を委託することができる。

選択肢は3つです。

体制受入れ機関に求められること
自社で全部行う受入れ機関自身が、支援計画の適正な実施の確保に係る基準に適合していること
一部を委託する同上。加えて、支援計画に委託の範囲を明示すること
登録支援機関に全部を委託する支援計画の適正な実施の確保に係る基準に適合しているものとみなされる

全部委託の効果——「みなし適合」

運用要領は、この点を明確に述べています。

特定技能所属機関は、他の者に1号特定技能外国人支援計画の全部又は一部の実施を委託することができ、登録支援機関に1号特定技能外国人支援計画の全部の実施を委託した場合は、1号特定技能外国人支援計画の適正な実施の確保に係る基準に適合しているとみなされます。

これが、初めて特定技能で受け入れる企業の多くが登録支援機関に委託する理由です。自社で支援体制の基準を一から満たすより、要件を満たした機関に任せるほうが確実だからです。

ただし、次の点は誤解されがちです。

  • 支援計画を作成するのは受入れ機関です(作成にあたって委託先の援助を受けることは差し支えありません)
  • 定期的な面談の実施と行政機関への通報は、第三者への委託が認められません
  • 受入れ後の各種届出の義務は受入れ機関に残ります(登録支援機関との委託契約に関する届出も必要です)
  • 委託した場合でも、支援が適正に行われているかを把握する責任は受入れ機関にあります

つまり、委託できるのは支援業務の実施であって、受入れ機関としての責任ではありません。

自社支援を選ぶ場合に必要なもの

自社で支援を行う場合、受入れ機関は支援体制に関する基準を自ら満たす必要があります。求められる水準は、登録支援機関に求められるものと同じ考え方に基づいています。具体的には次のような体制です。

  • 支援責任者と、支援業務を行う事業所ごとに1名以上の支援担当者を選任していること
  • 支援計画に基づき情報提供すべき事項について、外国人が十分に理解することができる言語により適切に情報提供する体制があること
  • 相談への対応について、担当の職員を確保し、十分に理解できる言語により適切に対応する体制があること
  • 支援責任者または支援担当者が、外国人およびその監督をする立場にある者と定期的な面談を実施できる体制があること
  • 中長期在留者の受入れ実績など、支援を適正に実施できることを示す要件を満たすこと

要件の詳細は登録支援機関の登録要件で解説しています。自社支援を検討される場合も、この記事の要件を読み替えて確認していただくのが早道です。

相談の現場から

「委託と自社支援、どちらがよいですか」というご質問には、 いつも受入れ人数と、社内に日本語以外で話せる人がいるかを先にうかがっています。

数名の受入れであれば、委託したほうが確実です。 相談対応は週3日以上、休日にも1日以上という水準が求められますし、 3か月に1回以上の定期面談もあります。 数名のために社内でこの体制を維持するのは、率直に言って重い。

一方、受入れが二桁になり、社内に通訳ができる方や 外国人スタッフのまとめ役がいるのであれば、自社支援の検討価値が出てきます。 費用の問題だけでなく、相談が社内で完結するほうが定着に効くという実感もあります。

ただ、どちらを選んでも定期的な面談と通報だけは社内に残ります。 ここは委託できません。 「全部お願いしたつもりだった」というずれが後から出ないよう、 契約前に役割分担を書き出しておくことをおすすめしています。

申請取次行政書士 多伊良 壮平

委託先を選ぶときに確認すること

登録支援機関は、登録を受けていれば誰でもよいというものではありません。次の点を確認してください。

  • 対応できる分野と、実際の支援実績
  • 受け入れる外国人の母語に対応できる体制があるか(通訳人の確保の方法を含む)
  • 支援の委託手数料の水準(対応可能な分野や標準的な金額を記した料金表をウェブサイト等で周知することが望まれるとされています)
  • 事業所と、外国人が働く場所・住む場所との距離(相談・面談の実効性に直結します)
  • 再委託をしていないか(登録支援機関は委託を受けた業務を再委託できません。再委託は不正行為に当たります)

なお、登録支援機関の登録は5年ごとの更新制です。委託先の登録の有効期間も確認しておくと安心です。

途中で切り替えるとき

委託から自社支援へ、あるいはその逆に切り替えることもできます。その場合は、

  • 1号特定技能外国人支援計画の変更に係る届出
  • 登録支援機関との委託契約の締結・変更・終了に係る届出

が必要になります。届出の全体像は受入れ機関の基準と受入れ後の届出にまとめています。

支援の中身そのものは1号特定技能外国人支援計画の10の義務的支援をご覧ください。

※ 本ページは出入国在留管理庁「特定技能外国人受入れに関する運用要領」(令和8年4月)第2章・第6章・第9章および入管法19条の22、特定技能基準省令3条・4条に基づいて作成しています。 制度は改正されることがあるため、申請時点の最新の取扱いをご確認ください。