就労ビザ(技術・人文知識・国際業務)の許可を得るには、大学等で専攻した科目と、入社後に従事する業務とが関連していることが必要です。大学卒業者については、特段の事情がない限り卒業していること自体で関連性を認めて差し支えないとされる一方、専門学校(専修学校専門課程)の修了者は、専攻科目と業務との相当程度の関連性が求められます。行政書士法人アクティス(鹿児島・熊本を中心に九州全域対応)は、内定を出す前の関連性の確認から申請までを企業さまに代わって行っています。
審査の中心は「専攻科目と業務の関連性」
「技術・人文知識・国際業務」は、自然科学(理系)または人文科学(文系)の分野の専門的な技術・知識を必要とする業務、あるいは外国人特有の感性を必要とする業務のために設けられた在留資格です。
出入国在留管理庁の審査要領では、この在留資格について従事しようとする業務と、大学等または専修学校において専攻した科目とが関連していることが必要と明記されています。単に経験を積んで得た知識では足りず、学問的・体系的な知識を必要とする業務であることが前提です。
ただし、専攻科目と業務が一致していることまでは求められていません。「関連していればよい」とされ、実際に履修した科目も確認したうえで判断されます。
大学卒と専門学校卒で、判断の緩やかさが違う
同じ「学歴がある」でも、審査での扱いは同じではありません。ここは制度の作りに理由があります。
| 大学(短大・大学院・専門職大学を含む) | 専門学校(専修学校専門課程) | |
|---|---|---|
| 関連性の判断 | 比較的緩やかに判断される | 相当程度の関連性を必要とする |
| 卒業した国 | 日本・海外どちらでもよい | 日本の専修学校のみ |
| 確認される書類 | 卒業証明書 | 卒業証明書・成績証明書・専門士(高度専門士)の称号を証する書類 |
大学は、学術の中心として広く知識を授け、深く専門の学芸を教授研究する機関とされています(学校教育法83条)。この設置目的を踏まえ、審査要領は**「特段の事情がない限り、大学を卒業していることをもって、自然科学又は人文科学の分野に属する技術又は知識を要する業務との関連性を認めて差し支えない」**としています。
一方、専修学校は職業や実際生活に必要な能力を育成することを目的とする機関であり(同法124条)、大学とは設置目的が異なります。そのため原則として、専攻科目と業務に相当程度の関連性が必要とされます。専門学校卒業者の申請で成績証明書が求められるのは、履修科目を個別に確認するためです。
なお、専門職大学・専門職短期大学は、理論に裏づけられた実践力の育成を目的としており、大学と同様に柔軟に判断して差し支えないとされています。
専門学校卒でも柔軟に判断される「認定学科」
専修学校の専門課程のうち、外国人留学生キャリア形成促進プログラムの認定(令和5年文部科学省告示第53号)を受けた学科を修了した場合は、専攻科目と業務の関連性が柔軟に判断されます。企業と連携した実習を行っていることなどが認定の要件で、質の高い教育を受けたと評価されるためです。
認定学科に当たるかどうかは、学校のホームページではなく文部科学省が公表する認定学科リストで確認する必要があります。認定は増減するため、最新のリストで確認してください。
学歴がない場合は、実務経験で補う
学歴の要件を満たさない場合でも、実務経験があれば対象になります。
- 技術・人文知識にあたる業務(システム開発、設計、企画、経理など)… 実務経験10年以上
- 国際業務にあたる業務(下記参照)… 実務経験3年以上
この10年には、大学・高等専門学校・高校・中等教育学校の後期課程・専修学校の専門課程で、当該技術または知識に係る科目を専攻した期間を含めることができます。
特定技能・技能実習の経験は算入されません
注意が必要なのは、特定技能や技能実習の活動によって得た経験は、原則としてこの「実務経験」には評価されないという点です。
審査要領は、特定技能で受け入れた外国人のキャリアアップは特定技能1号から2号への移行によって行うこととされており、特定技能での経験を土台に「技術・人文知識・国際業務」へ変更することは想定されていない、としています。「技能実習を3年やったから実務経験になる」という前提で採用計画を立てると行き詰まりますので、ご注意ください。
ITエンジニアには学歴要件の特例がある
情報処理に関する技術・知識を要する業務に従事する場合で、法務大臣が告示で定める情報処理技術に関する試験に合格している、または告示に定める資格を持っているときは、学歴・実務経験の要件(基準省令第1号)に適合することを要しないとされています(平成25年法務省告示第437号)。
日本の情報処理技術者試験のほか、中国・インド・ベトナムなど各国のIT資格が告示に挙げられています。学歴で要件を満たせない技術者でも、この特例で採用できるケースがあります。資格証をお見せいただければ、告示に該当するかを確認します。
「国際業務」で申請する場合は、業務の範囲が限定される
外国人特有の感性を必要とする業務(国際業務)として申請する場合、対象となる業務は次のものに限定されています。
翻訳、通訳、語学の指導、広報、宣伝、海外取引業務、服飾もしくは室内装飾に係るデザイン、商品開発その他これらに類似する業務
そのうえで、従事しようとする業務に関連する業務について3年以上の実務経験が必要です。ただし、大学を卒業した者が翻訳・通訳・語学の指導に従事する場合は、実務経験は不要とされています。
2026年4月15日から、語学力を使う対人業務に新しい要件が加わりました
2026年(令和8年)4月15日以降に受け付けられた申請から、 カテゴリー3・4の企業が、語学力を用いる対人業務を主たる業務として外国人を受け入れる場合、 その業務で使う言語についてCEFR B2相当の能力を証明する資料の提出が求められるようになりました。
日本語であれば、日本語能力試験N2以上、BJTビジネス日本語能力テスト400点以上のほか、 日本の大学を卒業している、日本の専修学校の専門課程を修了しているなどの場合は、 B2相当の能力があるものとして扱われます。
「日本語が話せるから」という理由で採用し、実態は接客や販売という形は、 もともと在留資格に該当しにくいものでした。今回の改正で、 語学力を使う対人業務であること自体に、一定の水準の裏づけが必要になっています。 施行から日が浅い運用のため、該当しそうなご相談は個別に確認しながら進めています。
申請取次行政書士 多伊良 壮平
内定を出す前に確認してください
関連性の判断は、書類がそろってからでは遅いことがあります。内定を出したあとに「この職務では取れない」と分かると、採用計画そのものを組み直すことになるからです。
必要なのは次の3つだけです。この段階でご相談いただければ、見込みの見立てをお伝えできます。
- 卒業証明書(専門学校卒の場合は成績証明書も)
- 職務経歴書、IT資格をお持ちの場合は資格証
- 入社後に任せる予定の職務内容
見込みが薄いと判断した場合は、その時点で正直にお伝えします。職務内容の設計を変えることで許可の可能性が出てくるケースもあるため、まずは現状をお聞かせください。
※ 本ページは出入国在留管理庁の審査要領(第12編 在留資格 第15節 技術・人文知識・国際業務)および 「技術・人文知識・国際業務」の在留資格の明確化等について(最終改定 令和8年4月15日)に基づいて作成しています。 制度は改正されることがあるため、申請時点の最新の取扱いをご確認ください。