すでに「技術・人文知識・国際業務」の在留資格を持つ外国人を中途採用する場合、在留期限が残っていれば、その時点で入管への申請をしなくても働くこと自体は可能です。ただし前職と職務内容が変わると、次の在留期間更新の際に在留資格に該当しないと判断される危険があるため、実務では採用時に就労資格証明書を取得して確認しておく方法がとられます。行政書士法人アクティス(鹿児島・熊本を中心に九州全域対応)は、この確認から更新申請までを企業さまに代わって行っています。
転職時、その日に手続きが要るわけではない
すでに「技術・人文知識・国際業務」で働いている方を中途採用する場合、在留期限が残っていて、任せる職務内容がその在留資格の範囲内であれば、入社時に入管の許可を取り直す必要はありません。在留資格は「会社」ではなく「活動の内容」に対して与えられているためです。
ただし、何もしなくてよいわけではありません。手続きと確認が3つあります。
1. 本人が14日以内に届出をする
転職した本人は、契約機関(勤務先)に関する届出を、事由が生じた日から14日以内に出入国在留管理庁へ提出する義務があります。前の会社を辞めたとき、新しい会社と契約したときの両方が対象です。
この届出を怠っていると、次の在留期間更新の際に不利に扱われます。審査要領では、在留期間を「5年」とする条件のひとつに入管法上の届出義務を履行していることが挙げられており、届出漏れは在留期間の長さに直接影響します。
会社側も、中長期在留者の受入れを開始・終了したときは、14日以内に受入れに関する届出を行うことになります(対象となる機関の範囲は個別に確認が必要です)。
2. 職務内容が変わるなら、就労資格証明書を取る
転職で本当に注意すべきなのは、入社時ではなく次の在留期間更新のときです。
前職と職務内容が変わっている場合、更新の審査で改めて在留資格の該当性が判断されます。ここで「新しい職務は在留資格の範囲外」と判断されると、数年働いたあとで在留を打ち切られることになります。会社にとっても本人にとっても、失うものが大きい形です。
これを避けるために使われるのが就労資格証明書です。新しい勤務先での職務内容を示して申請し、その活動が在留資格に該当することを入管に確認してもらう手続きです。
| 内容 | |
|---|---|
| 手数料 | 窓口申請 2,000円 / オンライン申請 1,600円(2025年4月1日以降) |
| 標準処理期間 | 当日(勤務先を変えた場合は1か月〜3か月) |
| 申請できる人 | 本人、法定代理人、承認された取次者(申請取次行政書士など) |
義務ではありませんが、職務内容が変わる転職では取得をおすすめしています。 更新のときに初めて争点になるより、採用の段階で決着させたほうが、双方にとって安全です。
3. 前職での納税・届出の状況を確認する
更新の審査では、住民税の課税(非課税)証明書と納税証明書によって、契約時の金額どおりの収入があるか、納税されているかが確認されます。
前職で住民税を滞納していた、届出を出していなかったといった事情は、転職後の更新で表面化します。採用時点で本人に確認しておくと、後の手当てがしやすくなります。
採用してから気づくと、選択肢が狭い
転職者のご相談で難しいのは、すでに入社して働いている状態で持ち込まれることです。 「更新の時期が近いので書類を作ってほしい」と言われて職務内容を伺うと、 前職とまったく違う仕事をしていた、というケースがあります。
この段階では、職務内容を変えるか、在留資格そのものを変更するか、 いずれにしても会社の体制を動かす話になります。すでに戦力になっている方であればなおさら、 会社としても簡単に配置を変えられません。
採用を決める前に、その職務で在留資格に該当するかを確認する。 転職者の採用は、この一手間で結果が変わります。在留カードと職務経歴書、 そして任せる予定の職務内容をお持ちいただければ、その場で見立てをお伝えできます。
申請取次行政書士 多伊良 壮平
事例:同じ「転職」でも、結果は分かれます
前職と職務内容が変わる転職で、結果が分かれた2件をご紹介します。いずれも、もともと貿易会社で働いていた方です。
貿易会社で翻訳・通訳を中心とした国際業務に従事していた方が、飲食店へ転職したケースです。 転職先は1店舗のみを運営する会社でした。
転職後の審査で、従事する業務が「技術・人文知識・国際業務」に該当しないと判断され、不許可となりました。 飲食店の現場業務は、専門的な知識を必要とする業務にあたらないためです。
同じく貿易会社に勤めていた方が、建設会社へ転職したケースです。 一見すると業種がまったく違うため、難しく見えます。
転職先での業務内容(建設資材の仕入れ、在庫管理など)を具体的に示し、 それが本人の学歴とどう結びついているかを説明したところ、 在留期間の更新が許可されました。
申請取次行政書士 多伊良 壮平
分かれ目は「業種」ではなく「業務内容」
この2件を分けたのは、転職先の業種ではありません。転職後に実際に何をするかです。
建設会社への転職は、業種だけ見れば貿易とは無関係に見えます。それでも、資材の仕入れや在庫管理といった業務は、専門的な知識を使う仕事として説明できました。一方、飲食店の現場業務は、どう説明しても専門的な知識を使う仕事にはなりません。
店舗数も効いています。 複数店舗を展開し本部組織のある会社であれば、店舗での研修を経て本部の総合職へ、というキャリアの道筋が描けます(必要書類のページの事例がこのパターンです)。しかし1店舗のみの会社では、現場業務以外の職務が実在しないため、その説明ができません。
更新であっても、実質は変更と同じ審査です
前職と仕事が異なる場合、在留期間の更新であっても、実質的には変更と同じ審査が行われます。 「更新だから通るだろう」という前提は、転職者については成り立ちません。
更新の申請書は、認定や変更に比べると記載する項目が少なく、 簡単な手続きのように見えます。しかし転職している場合、審査官は 新しい職務が在留資格に該当するかをゼロから判断します。 ここで説明を尽くしていないと、これまで何年働いていても止まります。
だからこそ、転職の時点で就労資格証明書を取っておく意味があります。 更新のときに初めて争点にするより、採用の段階で決着させたほうが、会社にとっても本人にとっても安全です。
申請取次行政書士 多伊良 壮平
職務内容の確認からお引き受けします
新しい職務内容が在留資格に該当するかの確認、就労資格証明書の取得、次回の更新申請まで、まとめてお引き受けできます。学歴・職務内容の関連性もあわせてご覧ください。
※ 本ページは出入国在留管理庁の審査要領および同庁ウェブサイトの公表情報に基づいて作成しています。 手数料や取扱いは改定されることがあるため、申請時点の最新の情報をご確認ください。