日本の大学や専門学校を卒業した留学生を新卒採用する場合、在留資格を「留学」から「技術・人文知識・国際業務」へ変更する許可申請が必要です。海外の大学に在学中の学生を採用する場合は、在留資格認定証明書交付申請となり、審査期間も査証の取得期間も別に見込む必要があります。いずれも卒業見込証明書の段階から申請できるため、卒業を待たずに手続きを進められます。行政書士法人アクティス(鹿児島・熊本を中心に九州全域対応)は、内定時点での見込み診断から申請までを企業さまに代わって行っています。
手続きは「変更」であって「新規取得」ではない
日本の大学・専門学校を卒業する留学生を採用する場合、本人はすでに「留学」という在留資格で日本にいます。したがって必要なのは、在留資格変更許可申請です。海外から人材を呼び寄せるときの在留資格認定証明書交付申請とは別の手続きになります。
審査で見られる点は、海外から呼び寄せる場合と変わりません。専攻と職務内容の関連性、業務が単純作業でないこと、会社の受け入れ体制、報酬が日本人と同等額以上であること。この4点です。
4月入社から逆算したスケジュール
就職先が決まっている留学生については、卒業前から変更申請を受け付ける運用が取られています。これを使って、入社日までに許可が出る形に組み立てます。
| 時期 | やること |
|---|---|
| 内定を出す前 | 成績証明書と予定職務で許可の見込みを確認 |
| 10月〜11月 | 書類の収集を開始。卒業見込証明書・成績証明書を大学から取得 |
| 12月まで | 変更許可申請 |
| 12月〜3月 | 審査(2〜3か月。3月は申請が集中しさらに延びることがあります) |
| 卒業後 | 卒業証明書を提出。在留カードの切り替え |
| 4月 | 入社 |
卒業証明書は卒業後でないと発行されないため、申請時点では卒業見込証明書を使います。許可は卒業を前提とした扱いになるので、万一卒業できなかった場合は入社もできません。
審査期間は在留資格を問わず長期化の傾向にあり、認定申請・変更申請とも2〜3か月が目安です。3月は申請が集中してさらに延びるため、年内に申請できていない場合、4月入社に間に合わないおそれがあるとお考えください。
内定を出す前に確認してほしいこと
留学生の採用で最も多いご相談が、内定を出したあとに「この職務では取れない」と分かるケースです。 本人も会社も前向きに進めていただけに、採用計画を組み直すのは双方にとって負担が大きい。
特に注意が必要なのは、専門学校を卒業する留学生です。大学卒業者は関連性が比較的緩やかに判断されるのに対し、 専修学校の専門課程を修了した方は、専攻科目と業務に相当程度の関連性が必要とされています。 ビジネス系の学科を出た方に技術職を任せる、といった組み合わせは、 会社側では自然に見えても審査では通らないことがあります。
なお、日本の大学や専修学校の専門課程を修了している留学生は、 2026年4月に追加された言語能力の証明(CEFR B2相当)については、 あらためて試験を受けなくてもB2相当として扱われます。この点は採用側の負担が軽い部分です。
確認に必要なのは成績証明書と、任せる予定の職務内容だけです。 内定を出す前の数日で済む確認なので、ぜひこの順番で進めてください。
申請取次行政書士 多伊良 壮平
海外の大学から新卒採用する場合は、手続きが変わります
ここまでは、日本の大学・専門学校を卒業する留学生を採用する場合の説明でした。海外の大学に在学中の学生を新卒採用する場合は、手続きが別のものになります。
| 日本の大学・専門学校の留学生 | 海外の大学の学生 | |
|---|---|---|
| 手続き | 在留資格変更許可申請 | 在留資格認定証明書交付申請 |
| 本人の所在 | すでに日本にいる(在留資格「留学」) | 海外にいる |
| 審査期間の目安 | 2〜3か月 | 2〜3か月(+査証取得の期間) |
| 入国後 | 在留カードの切り替え | 現地で査証(ビザ)を取得して来日 |
審査期間は近年、在留資格を問わず長期化の傾向にあります。加えて海外から呼び寄せる場合は、認定証明書が交付されたあとに現地の日本大使館・領事館で査証を取得する期間が別途かかるため、入社日から逆算する余裕を多めに見る必要があります。
事例:大学2年生に内定を出し、卒業後の入社まで組み立てた
IT企業さまが、ベトナムの大学に在学中の学生を採用した事例です。 大学2年生の時点で内定を出し、卒業後に入社するスケジュールで採用が決まりました。
申請したのは、卒業見込証明書が取得できる段階、入社の4か月前です。 在留資格認定証明書交付申請を行い、審査期間は2か月程度で許可となりました。 交付後、卒業証明書と成績証明書を確認し、履修内容と業務内容の関連性をあらためて確認しています。
申請取次行政書士 多伊良 壮平
この事例から読み取れること
1つ目は、内定から入社まで年単位で計画できるということです。 大学2年生の時点で内定を出しても、在留資格の手続きは卒業が見えた段階から始めれば間に合います。優秀な学生を早く押さえたい企業にとって、在留資格が制約にならないことが分かります。
2つ目は、申請のタイミングです。 認定証明書交付申請には卒業見込証明書が使えるため、卒業を待つ必要はありません。この事例では入社4か月前に申請し、審査に2か月かかりましたが、査証の取得と渡航の準備に2か月の余裕が残りました。
海外から呼び寄せる場合は、この「査証取得と渡航の期間」を忘れずに見込んでください。認定証明書が出た時点では、まだ入国できません。
3つ目は、関連性の確認を最後まで行っていることです。 卒業見込みの段階で申請しているため、卒業後に実際の卒業証明書と成績証明書を確認しています。海外の大学は日本と学期の区切りが違い、専攻の名称からは履修内容が読み取りにくいこともあります。採用時に成績証明書まで確認しておくと、申請時の説明が組み立てやすくなります。
学歴と職務内容の関連性は、こちらで詳しく解説しています
留学生の採用で結果を分けるのは、ほぼこの一点です。学歴・職務内容の関連性で、大学卒と専門学校卒の違いや、認められにくい典型例を整理しています。
入社時期が決まっているご相談は、スケジュールを逆算してご提案します。まずは現在の状況をお聞かせください。