「日本人の配偶者等」の在留資格でいう配偶者とは現に婚姻関係中の者をいい、離婚した方や死別した方は含まれません。離婚・死別をしたときは14日以内に出入国在留管理庁へ届け出る義務があり、さらに配偶者としての活動を継続して6か月以上行わないで在留していると、正当な理由がある場合を除いて在留資格の取消しの対象になります。取消しの際は30日を上限として出国のための期間が指定されます。日本人の実子を監護・養育している方や、婚姻が事実上破綻して引き続き在留を希望する方は、「定住者」への在留資格変更が認められる場合があります。行政書士法人アクティス(鹿児島・熊本を中心に九州全域対応)は、離婚後の在留資格のご相談をお受けしています。

まず、期限のある手続が2つあります

日本人の配偶者と離婚または死別したとき、期限のある手続が2つあります。制度を知らないまま時間が過ぎてしまうことが、いちばん避けたい事態です。

1. 14日以内の届出

「日本人の配偶者等」など、配偶者としての身分に基づく在留資格をお持ちの方は、配偶者と死別し、または離婚したときは14日以内に、出入国在留管理庁へ届け出なければなりません(配偶者に関する届出)。

この届出は、在留資格の変更申請とは別の手続です。届け出たことで直ちに在留資格を失うわけではありませんので、まずは期限内に済ませてください。

2. 「6か月」の意味

入管法22条の4第1項7号は、「日本人の配偶者等」または「永住者の配偶者等」の在留資格をもって在留する方が、配偶者としての活動を継続して6か月以上行わないで在留している場合を、在留資格の取消事由として定めています。ただし正当な理由がある場合は除かれます。

入管庁は、正当な理由がある場合として、配偶者からの暴力を理由とした避難または保護が必要な場合、子の養育等やむを得ない事情により別居しているが生計を一にしている場合などを例示しています。

在留資格が取り消される場合、30日を上限として出国のために必要な期間が指定され、その期間内に自主的に出国することになります。

つまり、離婚から時間が経つほど選択肢は狭くなります。動くべき期間は、実質的にこの6か月だとお考えください。

「配偶者」ではなくなる、ということ

審査要領は、「日本人の配偶者等」でいう配偶者について、現に婚姻関係中の者をいい、相手方の配偶者が死亡した者または離婚したものは含まれないと明記しています。

したがって離婚・死別をすると、この在留資格の該当性そのものを失います。更新して様子を見る、という選択肢は原則としてありません。次の在留資格へ移ることを考える必要があります。

主な選択肢は3つです。

  1. 定住者への変更(日本人の実子を養育している、婚姻が事実上破綻したなど)
  2. 就労資格への変更(学歴・職歴と職務内容が結びつく仕事に就く場合)
  3. 帰化(要件を満たす場合。ただし審査には時間がかかります)

以下では、ご相談の多い1つ目を説明します。

定住者への変更(1)日本人の実子を監護・養育している場合

日本人との間に生まれたお子さんを育てている方については、定住者告示に定めのない類型として、次の要件が示されています。

  • 日本人の実子の親権者であること
  • 現に相当期間当該実子を監護・養育していることが認められること

「日本人の実子」とは、嫡出・非嫡出を問わず、子の出生時点においてその父または母が日本国籍を有している者をいいます。実子が日本国籍を持っているかどうかは問われません。ただし、日本国籍を有しない非嫡出子については、日本人父から認知されていることが必要とされています。

「監護養育」とは、親権者等が未成年者を監督し、保護することをいい、民法820条が「親権を行う者は、子の監護及び教育をする権利を有し、義務を負う」と定めているのと同じ意味です。

変更の申請にあたっては、日本人の実子と同居し、実子を扶養するために定住を希望する旨を記載し、日本在留中は自ら監護養育する旨の文書の提出を求めることとされています。

また、在留期間の更新の際には、在留の根拠となった実子の監護・養育の事実が確認されます。なお、実子が就労を開始し、または婚姻して独立した場合は、この限りでないとされています。

ここで大切なのは、親権があるだけでは足りず、実際に育てている事実が求められるという点です。逆に、育てているだけで親権が相手方にある場合も、要件のうえでは問題になります。離婚の条件を話し合う段階で、この点を意識しておく必要があります。

定住者への変更(2)婚姻が事実上破綻している場合

離婚が成立していなくても、婚姻が事実上破綻している場合には、定住者への変更が検討されます。審査要領は「婚姻が事実上破綻し」の意味を、次のように定義しています。

婚姻は継続中であるものの、夫婦双方に婚姻継続の意思がなくなったもの、同居・相互の協力扶助の活動が事実上行われなくなり、その状態が固定化していると認められ、婚姻関係を修復・維持し得る可能性がなくなった場合などをいう。

許可の要件としては、このほかに次の2つが挙げられています。

  • 生計を営むに足りる資産または技能を有すること
  • 公的義務を履行していること、または履行が見込まれること

婚姻が破綻しているかどうかは、当事者等から事情聴取するなどして事実関係を正確に把握するとされ、婚姻が破綻しているとまでは認められない場合には、現に有する「日本人の配偶者等」または「永住者の配偶者等」の在留資格での期間更新の可否を検討するとされています。

なお、婚姻が破綻した夫婦のように複数の当事者の間に主張の対立が予想される場合は、すべての当事者から事情聴取して事実関係を把握することとされています。一方の言い分だけで判断されるわけではない、ということです。

相談の現場から

このご相談で、いちばんつらいのは「もっと早く来ていれば」と申し上げなければならない場面です。

別居してから1年以上経ち、在留期限も近づいてから相談に来られる方がいます。 その間、配偶者としての活動は行われていません。 早い段階であれば取り得た手段が、時間の経過とともに使えなくなっていきます。

離婚を人に相談しにくいお気持ちは、よく分かります。 ただ在留資格の手続は、気持ちの整理がついてからでは間に合わないことがあります。 離婚届を出す前でも、別居を始めた時点でご相談いただいて構いません。 お子さんの親権をどうするか、いつ届を出すかによって、 その後に取れる在留資格が変わることがあるからです。

配偶者からの暴力を理由に避難されている場合は、扱いが異なります。 その事情を説明できる資料とあわせて、慎重に手続を進めます。 ひとりで抱えずに、まずお話をお聞かせください。

申請取次行政書士 多伊良 壮平

定住者になったあと——在留期間と永住

定住者の在留期間は、5年・3年・1年・6月のいずれかです。5年が決定されるのは、次のいずれにも該当する場合とされています。

  1. 申請人または申請人を扶養する親が、入管法上の届出義務を履行していること
  2. 申請人または申請人を扶養する親が、各種の公的義務を履行していること
  3. 学齢期の子を有する親にあっては、子が小学校または中学校(インターナショナルスクール等を含む)に通学していること
  4. 主たる生計維持者が納税義務を履行していること
  5. 日本に5年以上在留していること

そして永住については、「定住者」の在留資格を付与された後、引き続き5年以上日本に在留していれば、10年の在留要件を満たすものとして扱われます。ただし日本人の配偶者の場合と違い、素行善良要件と独立生計要件は適用されます。詳しくは永住許可の要件をご覧ください。

離婚に伴う手続そのもの(財産分与、養育費、不動産の名義変更など)については、司法書士法人アクティスと連携して同じ窓口でご相談いただけます。

※ 本ページは出入国在留管理庁の審査要領(第12編 在留資格 第28節 日本人の配偶者等、第30節 定住者)、 入管法19条の16・22条の4および入管庁「在留資格の取消し」の公表内容に基づいて作成しています。 定住者への変更は個別の事情を踏まえた判断となり、要件を満たせば必ず許可されるというものではありません。 制度は改正されることがあるため、申請時点の最新の取扱いをご確認ください。