帰化とは、法務大臣の許可を受けて日本国籍を取得する手続きです。国籍法5条1項は、引き続き5年以上日本に住所を有すること、18歳以上で本国法によって行為能力を有すること、素行が善良であること、生計を営むことができること、原則としてもとの国籍を失うこと、憲法を暴力で破壊することを企てたことがないことという6つの条件を定めています。日本人の配偶者や日本で生まれた方などには年数の緩和があります。申請先は住所地を管轄する法務局・地方法務局で、申請者本人が出向いて行う必要があり、郵送はできません。行政書士法人アクティス(鹿児島・熊本を中心に九州全域対応)は、書類の収集から作成までをお手伝いしています。

帰化は「法務局」、永住は「入管」

まず手続きの入口が違います。

帰化永住
根拠国籍法入管法22条
申請先住所地を管轄する法務局・地方法務局地方出入国在留管理局
結果日本国籍を取得する外国籍のまま在留期限の制限がなくなる
申請方法本人が出頭して書面で(郵送不可)窓口またはオンライン

帰化が許可されると、戸籍が作られ、日本人になります。一方、永住は在留資格の一つですから、外国籍のままです。永住者の在留資格も在留資格の取消しの対象であり、退去強制事由に該当すれば退去を強制されることもある——これは審査要領に明記されている考え方です。この違いは小さくありません。

帰化の6つの条件(国籍法5条1項)

法務大臣は、次の条件を備える外国人でなければ、帰化を許可することができないと定められています。

  1. 引き続き5年以上日本に住所を有すること
  2. 18歳以上で本国法によって行為能力を有すること
  3. 素行が善良であること
  4. 自己または生計を一にする配偶者その他の親族の資産または技能によって生計を営むことができること
  5. 国籍を有せず、または日本の国籍の取得によってその国籍を失うべきこと
  6. 日本国憲法施行の日以後において、日本国憲法またはその下に成立した政府を暴力で破壊することを企てたり主張したりしたことがないこと(そのような政党その他の団体を結成し、または加入したことがないこと)

5号については、本人の意思にかかわらずその国籍を失うことができない場合において、日本国民との親族関係または境遇につき特別の事情があると認めるときは、この条件を備えないときでも許可できるという例外が置かれています(同条2項)。

なお、4号の生計要件は「自己または生計を一にする配偶者その他の親族の資産または技能によって」とあるとおり、世帯として生計が成り立っていればよいという書き方になっています。

年数が短くなる場合

国籍法は、6条から8条にかけて緩和規定を置いています。実務でよく使われるものを挙げます。

日本国民の配偶者(7条)

  • 日本国民の配偶者である外国人で、引き続き3年以上日本に住所または居所を有し、かつ現に日本に住所を有する方
  • 日本国民の配偶者である外国人で、婚姻の日から3年を経過し、かつ引き続き1年以上日本に住所を有する方

いずれも、5年の住所要件(1号)と行為能力の条件(2号)を備えていなくても許可できるとされています。

日本と縁のある方(6条)

  • 日本国民であった者の子(養子を除く)で、引き続き3年以上日本に住所または居所を有する方
  • 日本で生まれた者で引き続き3年以上日本に住所もしくは居所を有し、またはその父もしくは母(養父母を除く)が日本で生まれた方
  • 引き続き10年以上日本に居所を有する方

これらは1号(5年の住所要件)が免除されます。

日本国民の子など(8条)

  • 日本国民の子(養子を除く)で日本に住所を有する方
  • 日本国民の養子で引き続き1年以上日本に住所を有し、縁組の時に本国法により未成年であった方
  • 日本の国籍を失った方(日本に帰化した後に失った方を除く)で日本に住所を有する方
  • 日本で生まれ、かつ出生の時から国籍を有しない方で、その時から引き続き3年以上日本に住所を有する方

これらは1号・2号・4号(生計要件)が免除されます。

自分で作る書類が7つあります

帰化申請の負担が大きいと言われるのは、集める証明書の多さに加えて、自分で作成する書類が多いためです。法務省の手引きは、次の7つを挙げています。

書類注意点
帰化許可申請書申請年月日欄と署名欄は空欄のままにしておく(受付の際に記載・自署)
親族の概要を記載した書面日本在住の親族と外国在住の親族で用紙を分ける
履歴書出生の時から日付順に、空白期間のないよう詳しく
帰化の動機書申請者本人が自筆(パソコン不可)。15歳未満は不要
宣誓書申請の際に本人が自筆で署名するため、空欄のままにしておく
生計の概要を記載した書面収入・支出・資産。預貯金は通帳等の現在高を記載
事業の概要を記載した書面事業を営んでいる場合、一事業ごとに作成

このうち動機書だけは、パソコンで作成することが認められていません。日本に入国するに至った経緯や動機、日本での生活についての感想、社会貢献、母国に対する思い、帰化が許可された後の生活の予定などを、具体的に自筆で書きます。

そのほか、書類作成の共通ルールとして次のような定めがあります。

  • 用紙はA4判、黒インクのペンまたはボールペン。消せるボールペン・鉛筆は不可
  • 誤記は取消線を引いて修正する(修正テープ・修正液は不可)
  • 提出書類は原則として2通(1通は原本、もう1通は写しでも可)
  • 外国語の書面にはA4判の翻訳文(部分翻訳は不可)を付け、翻訳者の住所・氏名・翻訳年月日を記載する
  • パスポートや免許証など原本を提出できないものは写しを2部提出し、提出の際に原本を持参する
  • 提出書類には事実をありのまま記載する。記載すべきことを記載せず、または虚偽の記載があるときなど、調査に協力願えない場合は許可されないことがある

申請の流れ

  1. 法務局への事前相談(電話予約のうえ来庁。必要書類の確認)
  2. 書類の収集・作成(母国の書類の取り寄せと翻訳に時間がかかります)
  3. 申請——申請者全員(15歳未満は法定代理人)が自ら法務局・地方法務局に出向いて提出。郵送はできません
  4. 面接・追加資料の提出
  5. 結果の通知(許可の場合は官報に告示されます)

申請後に事情が変わったときは、速やかに法務局の担当者に連絡する必要があります。手引きは次の例を挙げています。

  • 住所または連絡先が変わったとき
  • 婚姻・離婚・出生・認知・死亡・養子縁組・離縁など身分関係に変動があったとき
  • 在留資格や在留期限が変更または更新されたとき
  • 日本からの出国予定が生じたとき、および再入国したとき
  • **法令に違反する行為(交通違反を含む)**をしたとき
  • 勤務先など仕事関係が変わったとき
相談の現場から

帰化のご相談で最初にお伝えしているのは、「時間がかかる手続きです」ということです。

書類を集め始めてから申請にたどり着くまでに数か月、 そこから結果が出るまでにさらに時間がかかります。 とくに時間が読めないのが母国の身分関係書類の取り寄せです。 国によっては本国の親族に動いていただく必要があり、 さらに日本語の翻訳文を付けなければなりません。

もう一つ、意外に見落とされるのが交通違反です。 申請後に違反をしたときも連絡が必要とされています。 「その程度で」と思われるかもしれませんが、 申告しなかったことのほうが問題になります。 手引きにも「事実をありのまま記載してください」と書かれているとおりです。

永住と迷っている方には、どちらが有利かではなく、 ご家族の状況と、母国との関わりをどう考えるかを先にうかがっています。 そこが決まれば、選ぶべき手続きはたいてい見えてきます。

申請取次行政書士 多伊良 壮平

永住と帰化、どちらを選ぶか

判断の分かれ目になりやすい点を整理します。

観点帰化永住
国籍日本国籍を取得(原則としてもとの国籍を失う)外国籍のまま
在留資格在留資格そのものが不要になる在留資格の取消し・退去強制の対象ではある
母国との関係母国への入国に査証が必要になる場合がある母国のパスポートをそのまま使える
選挙権・公務就任日本国民として認められる認められない
手続きの負担書類が多く、期間も長い帰化に比べれば負担は小さい
家族への影響未成年のお子さんと同時に申請することが多い家族それぞれの要件で判断される

なお、日本国籍を取得したあとに自己の志望によって外国の国籍を取得すると、日本の国籍を失います(国籍法11条1項)。将来、母国の国籍を再取得する予定がある方は、この点を踏まえて判断する必要があります。

永住のほうの要件は永住許可の要件——10年ルールと、それが短くなる特例に、2026年に予定されている見直しは2026年の改定で永住はどう変わるかにまとめています。どちらを選ぶか迷っている段階でのご相談も歓迎です。

※ 本ページは国籍法・国籍法施行規則および法務省「帰化許可申請のてびき」(令和7年6月・東京法務局ホームページ掲載用)に基づいて作成しています。 提出書類や取扱いは管轄の法務局によって異なる場合があります。制度は改正されることがあるため、申請時点の最新の取扱いをご確認ください。