永住許可の不許可理由で多いのは、税・年金・健康保険の保険料を納期限内に納めていなかったこと、在留年数の内訳が要件を満たしていないこと、世帯の生計が安定していると認められないことの3つです。とくに注意が必要なのは、公的義務の不履行を理由に不許可となった方が未納分を追納して再申請しても、追納したことをもって要件への不適合が治癒されたとは評価されず、再申請時から算出される新たな確認対象期間で適正に履行されていることが必要とされている点です。行政書士法人アクティス(鹿児島・熊本を中心に九州全域対応)は、不許可理由の確認から再申請の時期の見極めまでお手伝いしています。

不許可の理由は、だいたい決まっています

永住許可の審査は、書類の書き方の巧拙で決まるものではありません。ご相談を受けている限り、不許可の理由は次の3つにほぼ集約されます。

  1. 公的義務(税・年金・健康保険)の履行に問題があった
  2. 在留年数の内訳または在留期間が要件を満たしていなかった
  3. 世帯の生計が安定していると認められなかった

順に見ていきます。

1. 公的義務——「完納したかどうか」ではない

もっとも多い理由です。そして、もっとも誤解されている理由でもあります。

審査要領は、公的義務について次のように定めています。

  • 申告は適正に行っていても、その一部しか納税されていない場合や、納税状況を確認する期間に継続して適正に納税されていない場合は、公的義務を履行していることに当たらない
  • 申請時点において納税済みであったとしても、当初の納税期限内に納税されていなかった場合には、原則として消極的に評価する(納税期限後に納税したことについてやむを得ない事情が認められる場合を除く)

つまり、審査で見られているのは残高ではなく納付の履歴です。督促を受けてから納めた記録、口座残高不足で引き落としができなかった記録は、完納していても残ります。

年金と健康保険も同じ考え方です。確認対象期間は原則として直近2年間。国民年金を免除・猶予の手続をとらずに放置していた期間があれば、そこが未納として見えます。

一方で、次の場合は本人の責任ではないとして、それを理由に不適合とはされません。

  • 会社(特別徴収義務者)が住民税を預かりながら納入していなかった場合
  • 所属企業が厚生年金保険料・健康保険料を支払っていなかった場合

この場合は、事情を説明する資料を添えて申請します。

2. 在留年数の内訳と、在留期間

「10年住んでいるから大丈夫」と思って申請し、不許可になる方がいます。国益要件が求めているのは、次の2つです。

  • 引き続き10年以上の在留のうち、就労資格または居住資格で5年以上(技能実習・特定技能1号は就労資格から除かれます)
  • 現に最長の在留期間をもって在留していること(当面、在留期間「3年」も最長とみなす取扱い)

留学が長く就労が短い方、技能実習から特定技能1号に進んだ方は、合計年数が10年を超えていても5年の条件に届いていないことがあります。詳しくは永住許可の要件で解説しています。

また、在留期間が「1年」の方は申請してもこの条件を満たしません。まず在留期間の更新で3年以上を得ることが先になります。

3. 世帯の生計

独立生計要件は、公共の負担となっておらず、職業や資産から見て将来において安定した生活が見込まれることを求めています。世帯単位で判断してよく、預貯金や不動産などの資産も考慮されます。

問題になりやすいのは、収入の金額そのものよりも変動や不連続です。転職の合間の無収入期間、独立直後で所得が下がった年、扶養家族が増えた時期。こうした事情は、説明がなければ「不安定」としか読めません。

出国が多い方について

長期の出国を繰り返している場合、「引き続き」日本に在留しているといえるか、また生活の本拠が日本にあるかという観点から問題になることがあります。転勤・留学・家族の看護など理由はさまざまですが、出国の理由と期間を説明できる資料を用意しておくことが大切です。何日までなら大丈夫という公表された基準はありませんので、個別の判断になります。

再申請でいちばん大切なのは「時期」

ここが本題です。

公的義務の不履行を理由に不許可となった方が、未納分を納めて再申請するとします。これで解決するでしょうか。審査要領は、はっきりと否定しています。

確認対象期間に税及び保険料の未納が認められた場合等、公的義務不履行により不許可処分とした者から、未納分について追納したとして再申請があった場合においても、追納されたことをもって国益要件への不適合事由が治癒されたと評価することは適当ではなく、当該再申請時から算出される新たな確認対象期間において公的義務が適正に履行されていることが必要である

つまり、納め終えた時点がスタートラインです。そこから新しい確認対象期間(住民税なら5年、年金・健康保険なら2年が原則)を積んでいくことになります。

これを知らずに、追納した翌月に再申請して再び不許可になる方がいます。手数料と時間を費やしたうえ、記録だけが増えます。

相談の現場から

不許可の通知が届いたあと、まずやるべきことは入管で理由を確認することです。 申請人ご本人が地方出入国在留管理局に出向くと、口頭で説明を受けられます。書面では交付されません。

このとき聞き取るべきなのは、「何が足りなかったか」だけではありません。 「いつの分が問題になったのか」まで確認できると、次に出す時期が計算できます。 3年前の未納が理由なら、記録が対象期間から外れるのを待つという判断ができるからです。

永住は、急いで出し直すより、条件が整う時期を待って一度で通すほうが結果的に早い手続です。 ご相談では、再申請の可否だけでなく「いつ出すか」までお伝えするようにしています。

申請取次行政書士 多伊良 壮平

不許可でも、在留資格は残ります

大切な点なので繰り返します。永住許可申請が不許可になっても、いま持っている在留資格はそのまま残ります。就労を続けることも、家族と暮らすこともできます。

ただし在留期限は延びません。永住の審査は結果が出るまで時間がかかるため、審査中に在留期限が近づいたら、在留期間更新許可申請を別に行う必要があります。ここを見落とすと、永住とは無関係の理由で在留資格を失いかねません。

在留期限との関係や、不許可全般の対応は不許可になった方へにもまとめています。

当事務所にご依頼いただいた申請が不許可となった場合は、入管で不許可理由をヒアリングし、追加費用なしで再申請まで対応します(不許可理由や在留状況によって再申請ができない場合もございます)。

なお、2026年8月に公表された改定案では、収入や年金についての考え方がさらに具体化される見込みです。これから申請される方は2026年の改定で永住はどう変わるかもあわせてご確認ください。

※ 本ページは出入国在留管理庁の審査要領(第12編 在留資格 第27節 永住者)に基づいて作成しています。 制度は改正されることがあるため、申請時点の最新の取扱いをご確認ください。