2026年(令和8年)10月1日、出入国在留管理庁が「永住許可に関するガイドライン(令和8年10月1日改定)」を公表しました。あわせて、永住許可申請のページにどの時期に申請した方にどの版が適用されるかを示したお知らせが掲載されています。
8月に公表されていた改定案は、意見募集を経て確定したことになります。改定の中身(収入・年金・日本語能力など)は8月の記事で解説していますので、この記事では、いま実務でいちばん問い合わせの多い**「結局、自分にはどの版が適用されるのか」**を整理します。
申請時期で3つに分かれます
入管庁のお知らせは、申請日を基準に次の3つに分けています。
| 申請した(する)時期 | 適用されるガイドライン |
|---|---|
| 2026年3月31日まで | 令和8年2月24日改訂版 |
| 2026年4月1日〜2027年3月31日 | 令和8年2月24日改訂版。ただし収入に関する部分のみ、令和8年10月1日改定版の第2の4(2)と第2の5(7)を適用 |
| 2027年4月1日以降 | 令和8年10月1日改定版(全面適用) |
基準は申請日です。許可が下りた日でも、審査が終わった日でもありません。
「収入に関する部分のみ」とは、どの条項か
真ん中の区分がいちばん分かりにくいところです。先行して適用されるのは、改定版の次の2か所に限られます。
- 第2の4(2)収入 … 独立生計要件のうち、世帯年収の考え方を定めた部分
- 第2の5(7)公共の負担とならないこと … 国益要件のうち、経済的な状況を見る部分
裏を返せば、年金(第2の4(3))、日本語能力B1相当、制度・ルールへの理解、学齢期の子の就学は、この期間にはまだ適用されません。これらが効いてくるのは2027年4月1日以降の申請からです。
先行適用される「収入」の中身は、世帯年収が世帯人数に応じた日本人世帯の平均収入を上回る水準に継続して達しているかを考慮するというものです。世帯単位で見ること、扶養している親族は海外に住んでいても世帯人数に加算されること、家族滞在などで在留する方の収入は世帯年収に合算できないことが、あわせて定められています。詳しくは収入と年金の記事をご覧ください。
審査中の申請にも及びます
ガイドライン本体の第6(適用時期)は、この2か所について、改定日から6か月前の日以降の申請であって、かつ改定日において申請中である案件にも適用すると定めています。
つまり、2026年4月1日以降に提出してまだ結果が出ていない申請は、提出時点では想定していなかった収入の考え方で審査される可能性があるということです。すでに申請済みの方も、他人事ではありません。
「我が国への貢献」のガイドラインは廃止されます
お知らせには、2027年3月31日をもって「我が国への貢献があると認められる者への永住許可のガイドライン」を廃止すると書かれています。
ここは誤解されやすいところなので補足します。特例そのものがなくなるわけではありません。 別立てになっていたガイドラインが、改定版の本体に取り込まれる形です。改定版では、第3の9に「外交・国際交流、社会、経済、文化等の分野において我が国への貢献があると認められる者で、5年以上本邦に在留していること」という原則10年在留の特例が置かれ、第4でその該当者が示されています。
第4が挙げているのは、日本政府から表彰等を受けた者(国民栄誉賞、勲章、文化勲章、褒章など)、日本政府や地方自治体から委員等として任命・委嘱されて公共の利益を目的とする活動をおおむね5年以上行い、公共の利益への貢献があった者、国際機関や外国政府等から国際社会で権威あるものとして評価されている賞を受けた者などです。
該当しそうな方は、2027年3月31日をまたぐと根拠となる資料の整理の仕方が変わります。心当たりのある方は早めにご相談ください。
いま何をしておくとよいか
申請の予定時期で、やるべきことが変わります。
2027年3月31日までに申請する予定の方
年金や日本語能力はまだ問われません。確認すべきは世帯年収です。世帯人数の数え方(扶養親族は海外在住でも加算)と、合算できない収入(家族滞在などで在留するご家族の収入)を踏まえて、いまの世帯年収が水準に届いているかを見ておいてください。
2027年4月1日以降になりそうな方
全面適用になります。年金の加入状況、日本語能力の証明、お子さんの就学状況まで含めて、いまから準備できることがあります。とくに年金は過去の加入記録が効いてくるため、早めの確認をおすすめします。
すでに申請して結果を待っている方
2026年4月1日以降に提出した申請は、収入に関する部分について改定版で審査される可能性があります。追加資料を求められたときに慌てないよう、世帯の収入を説明できる資料を手元に揃えておくと安心です。
まとめ
- 2026年10月1日、永住許可ガイドラインの改定版が公表され、改定が確定した
- 適用は申請日基準で3つに分かれる。2027年3月31日までの申請は、収入に関する部分(第2の4(2)・第2の5(7))だけが改定版
- 年金・日本語B1・制度理解・子の就学が効いてくるのは2027年4月1日以降の申請から
- 2026年4月1日以降に提出し、審査中の申請にも収入の部分は及ぶ
- 「我が国への貢献」の別ガイドラインは2027年3月31日で廃止。ただし特例は改定版の本体(第3の9・第4)に引き継がれる
どの版が適用されるかで、準備すべき資料も、申請に踏み切るタイミングも変わります。判断に迷われたら、現在の状況をお聞かせください。
出典
- 出入国在留管理庁「永住許可(入管法第22条)」内の【お知らせ】「永住許可に関するガイドライン」の適用について(令和8年10月1日掲載)
- 同「永住許可に関するガイドライン」(平成18年3月31日策定/最終改定 令和8年10月1日)
- 同「永住許可に関するガイドライン」(令和8年2月24日改訂)
※ 本記事は2026年10月1日に公表された資料に基づく解説です。運用は今後追加・変更される可能性があります。個別の事情により判断は異なりますので、具体的な見通しは個別にご相談ください。