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2026年8月4日、出入国在留管理庁は「永住許可に関するガイドライン」の改定案と、「永住者の在留資格の取消しに関するガイドライン」の案を公表し、パブリックコメント(意見募集)を開始しました。意見の募集期間は2026年9月3日までです。

改定案は、永住許可の審査で考慮する要素を広い範囲で見直すもので、これから永住を申請する方には影響の大きい内容です。この記事では、公表された原文(改定案の本文と概要)に基づいて、変更点と適用時期を整理します。

なお、現時点ではあくまで「案」の段階です。意見募集の結果によって内容が変わる可能性があることを、はじめにお伝えしておきます。

前提:永住許可の3つの要件

永住許可の要件は、入管法22条2項に定められた次の3つです。

  1. 素行が善良であること(素行善良要件)
  2. 独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること(独立生計要件)
  3. その者の永住が日本国の利益に合すると認められること(国益要件)

ガイドラインは、この3要件を審査するときに考慮すべき要素の考え方を示したものです。今回変わるのは法律そのものではなく、**審査の「物差し」**だとご理解ください。

改定案では冒頭に、「永住者」は在留活動にも在留期間にも制限がない最も安定した法的地位であり、その後の生涯を日本で過ごすことが想定されることから、許否の判断に当たっては**「特に慎重な審査を行う必要がある」**という考え方が初めて明記されました。今回の見直し全体の方向性を示す一文です。

改定案の主な変更点

項目現行ガイドライン改定案
収入(独立生計)具体的な金額の基準は示されていない世帯人数に応じた日本人世帯の平均収入を上回る水準に継続して達しているか
年金(独立生計)項目なし将来の受給見込額が、上記の年収水準で30年間厚生年金に加入していた場合の水準に達しているか(新規追加)
日本語能力(国益)項目なし日本語教育の参照枠のB1相当レベル以上(新規追加・例外あり)
制度・ルールの理解(国益)項目なし「生活・就労ガイドブック」の記載事項を中心に理解を確認。理解が乏しい場合は消極評価
学齢期の子の就学(国益)項目なし学齢期の子を小学校・中学校に通学させていなければ消極評価
配偶者などの特例婚姻3年以上+在留1年以上(実子等は1年以上)婚姻5年以上+在留3年以上(実子等は3年以上)
素行善良要件特段の変更なし

とくに影響が大きいのは、収入年金です。現行のガイドラインには具体的な金額基準がなく、実務上は「世帯として安定した生活が見込めるか」という総合判断でした。改定案は、これを日本人世帯の平均収入という外から見える水準に置き換えます。年金に至っては、これまで永住審査でここまで正面から問われる項目ではありませんでした。

それぞれの中身は、次の記事で詳しく解説しています。

いつから適用されるのか——2段階で始まります

適用時期は一律ではありません。ここが実務上いちばん重要な点です。

① 収入と「公共の負担とならないこと」→ 2026年10月ごろから

改定案の概要では、収入に関する要素は2026年(令和8年)10月に施行するとされています。さらに改定案の本文では、これらの要素は「改定日から6か月前の日以降の申請であって、かつ、改定日において申請中である案件にも適用する」とされています。つまり、すでに提出して審査を待っている申請にも、新しい収入の考え方が及ぶ可能性があります。

② それ以外の変更 → 2027年(令和9年)4月1日以降の申請から

年金、日本語能力、制度・ルールの理解、学齢期の子の就学、配偶者などの特例の伸長といった残りの変更は、2027年4月1日以降に受け付けられた申請から適用されます。

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影響が大きいのはどんな方か

改定案を読むかぎり、次のような方は早めの検討をおすすめします。

  • 世帯年収が平均前後の方(基準が「平均を上回る水準」に引き上げられるため)
  • 自営業・フリーランスの方(厚生年金ではなく国民年金のため、受給見込額が届きにくい)
  • 配偶者を扶養している方(世帯単位で審査され、家族滞在の方の収入は世帯年収に合算できません)
  • 日本語の試験を受けたことがない方
  • 学齢期のお子さんがいる方
  • 現在の在留期間が**「3年」**の方(申請のタイミングに注意が必要です)

逆に、就労資格で長く働き、厚生年金に継続して加入し、世帯年収も安定している方であれば、改定後も大きく評価が変わるわけではありません。過度に不安をあおるつもりはなく、ご自身がどちらに近いかを早めに確認しておくことが大切だとお伝えしたいのです。

まとめ

  • 2026年8月4日に永住許可ガイドラインの改定案が公表され、9月3日まで意見募集中
  • 収入・年金・日本語・制度理解・子の就学が新たに、または厳しく問われる
  • 収入に関する部分は2026年10月ごろから、その他は2027年4月1日以降の申請から
  • 「案」の段階のため、最終的な内容は変わる可能性がある

アクティスでは、改定案の内容を踏まえて「今の状況で申請できるか」「いつ申請するのが有利か」の診断を行っています。ご自身の状況で判断に迷われたら、お気軽にご相談ください。

出典

  • 出入国在留管理庁「『永住者』の適正化に係るパブリック・コメントの実施について」(2026年8月4日)
  • 同「永住許可に関するガイドライン改定(案)」および同(概要)
  • 同「永住許可に関するガイドライン」(令和8年2月24日改訂)

※ 本記事は2026年8月15日時点で公表されている資料に基づく解説です。改定案は意見募集の結果により変更される可能性があります。個別の状況により判断は異なります。

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