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改正前の経営管理ビザには、経営者本人の経歴を問う要件がありませんでした。事業の管理に従事する場合(雇われ管理者のケース)にだけ3年以上の経験が求められ、自ら会社を興す経営者には学歴・職歴の基準がなかったのです。

2025年10月16日の改正で、基準省令第4号として経歴要件が新設されました。これにより、「日本で会社を作れば誰でも経営管理ビザ」という道は閉じられています。

2つのルートのどちらかを満たす

条文は、次のいずれかに該当することを求めています。

イ 経営管理に関する分野又は申請に係る事業の業務に必要な技術又は知識に係る分野において博士の学位、修士の学位又は専門職学位(学位規則第5条の2に規定する専門職学位をいい、外国において授与されたこれに相当する学位を含む。)を有していること

ロ 事業の経営又は管理について三年以上の経験(特定活動の在留資格をもって本邦に在留していた期間で、起業準備行為を行う活動を含む活動を指定されたものに限る場合には、当該期間を含む。)を有していること

どちらか一方を満たせば足ります。

ルート1:学位で満たす

対象となるのは博士・修士・専門職学位です。学士(学部卒)では足りません。外国において授与されたこれに相当する学位も含まれますので、母国のMBAや修士号でも構いません。

分野については、次の2通りの認められ方があります。

  1. 経営管理に関する分野 … 経営学、商学、MBA など
  2. 申請に係る事業の業務に必要な技術又は知識に係る分野 … 事業内容と結びつく専門分野

2番目が重要です。たとえばIT開発会社を経営するなら情報工学の修士、食品加工業なら食品科学の修士、といった具合に、事業内容と学位の分野が結びついていれば認められる余地があります。審査要領も、「申請人の学位が経営管理に関する分野でない場合には、勤務先欄の記載から、申請人の学位が業務に必要な技術又は知識に係る分野に該当するか確認する」としています。

つまり学位ルートを使う場合、申請書の事業内容の書き方が、そのまま要件充足の説明になるということです。

ルート2:経営・管理の経験3年で満たす

こちらは「事業の経営又は管理について3年以上の経験」です。実務では、次の3種類の期間を合算して数えます。

  • 本邦外での経歴(母国での会社経営・管理職としての勤務)
  • 本邦での「経営・管理」の在留資格による活動期間
  • 「特定活動」で起業準備活動を指定されていた期間

起業準備活動(スタートアップビザ)の期間も含まれる

3番目は、2025年改正で明確にされた重要なポイントです。在留資格「特定活動」に基づく、貿易その他の事業の経営を開始するために必要な事業所の確保その他の準備行為を行う活動(起業準備活動)の期間が、この3年に含まれます。

自治体や国のスタートアップビザ制度を使って準備してきた期間が、そのまま経歴として評価されるということです。なお、この期間はFEIS(入管の情報システム)により確認されるとされていますので、申告と記録が食い違わないよう注意が必要です。

ご自身の経歴が要件に届くか、無料で確認します

学歴・職歴を伺えば、どちらのルートで説明するのが確実かをその場でお伝えします。立証資料の集め方までご案内します。

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審査で求められる立証資料

所属機関がカテゴリー3または4の場合、次の資料により確認されます。

学位ルートの場合

  • 経営管理に関する分野、又は事業の業務に必要な技術・知識に係る分野において、博士・修士・専門職学位を有することを証する文書

経歴ルートの場合

  • 関連する職務に従事した機関並びに活動の内容及び期間を明示した履歴書
  • 関連する職務に従事した期間を証する文書

実務でつまずきやすいのは、後者の「期間を証する文書」です。母国の会社での在職証明書は、退職から時間が経つと取得が難しくなります。独立を考え始めた段階で、在職証明書を取っておく——これだけで、後の申請がずいぶん楽になります。

また、申請書の「最終学歴」「専攻・専門分野」「事業の経営又は管理についての実務経験年数」「職歴」欄の記載により確認される、とされています。履歴書と申請書の記載が食い違わないことが前提です。

管理者として招へいされる場合の注意

条文でいう「管理」は、部長・工場長・支店長等の管理者としての活動を指します。企業に管理者として招へいされて経営管理ビザを取得する場合には、経歴要件(第4号)に加えて、日本人が従事する場合に受ける報酬と同等額以上の報酬を受けることが必要です(第5号)。

この場合、役員に就任するなら役員報酬を定める定款の写しまたは役員報酬を決議した株主総会の議事録の写し、管理者として雇用されるなら労働条件を明示する文書によって、報酬額が確認されます。

すでに在留中の方へ

改正前から経営管理ビザで在留している方は、2028年10月16日までの経過措置の対象です(経過措置と更新の考え方)。

そして経歴要件については、すでに経営管理ビザで会社を経営してきた期間そのものが、3年の経験としてカウントされます。改正の時点で経営歴が3年に満たない方でも、経過措置の期間中に経営を続けていれば、この要件は自然に満たされていきます。増資や雇用と違い、追加のコストがかからない要件だといえます。

出典

  • 出入国在留管理庁「『経営・管理』の許可基準の改正等について(令和7年10月16日施行)」
  • 出入国在留管理庁 審査要領 第10節「経営・管理」(第1・3(4)(5)、第1・4(1)ウ(エ)(オ)、末尾【参考】旧基準)
  • 出入国在留管理庁「『経営・管理』許可基準に係る見直しについて」

※ 本記事は執筆時点の公表資料に基づく解説です。学位の相当性など個別の判断は事案により異なります。詳しくは無料相談でお聞かせください。

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